2017 Fiscal Year Research-status Report
メラニン形成を制御するジヒドロレスベラトロール配糖体の分子ロジック解析
Project/Area Number |
15K01797
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
二瓶 賢一 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10307209)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ジヒドロレスベラトロール / チロシナーゼ阻害剤 / 抗酸化性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ツバキ科植物由来の天然配糖体であるジヒドロレスベラトロールグルコシドは,B16F0メラノーマ細胞に対して,強いメラニン形成阻害活性を示す。その一方,合成した化合物であるジヒドロレスベラトロールキシロシドには,B16F0メラノーマ細胞のメラニン形成を著しく促進する効果がある。このように,ジヒドロレスベラトロール配糖体の構造の僅かな改変は,メラノーマ細胞におけるメラニン形成過程のスイッチのオン/オフに関わっている可能性が高い。 本研究では,化学合成と生理活性評価を通して,ジヒドロレスベラトロール配糖体の構造変換を連続的に行い,新しいメラニン形成調節剤を開発する。また,それらのデータを基に,構造-活性相関の解析を行い,メラニン形成過程におけるジヒドロレスベラトロールの分子ロジックの解明を目指す。 本年度は,グルコースの6"位が修飾された種々のジヒドロレスベラトロール配糖体の化学合成に取り組んだ。また,より単純な化合物として,ベンズアルデヒド類に着目し,メラニン形成に関与するチロシナーゼに対するそれらの阻害効果について,酵素化学的な観点から解析を行った。さらに,チロシナーゼの有するフェノール類の酸化的変換に着目して,エピロドデンドリンからの新規抗酸化性物質の開発に関する研究にも着手した。 その結果,ベンズアルデヒド類がチロシナーゼ阻害剤として作用することおよびチロシナーゼ反応により抗酸化性物質であるソンネルフェノリックCがつくり出されることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メラニン形成阻害剤のジヒドロレスベラトロールグルコシドとメラニン形成促進剤のジヒドロレスベラトロールキシロシドの中間の構造を有する配糖体の化学合成を行い,メラニン形成調節のスイッチが,ジヒドロレスベラトロール配糖体のどの構造に位置するかを突き止めようとした。しかしながら,配糖体の化学合成が円滑に進行せず,生理活性の結果を得ることが出来なかった。 一方,複数のベンズアルデヒド類が,メラニン形成の鍵となる酵素のチロシナーゼの阻害剤として働くことを明らかにした。また,チロシナーゼによる酸化とビタミンCによる還元の過程で,エピロドデンドリンから,強い抗酸化性を示すソンネルフェノリックCが生成することを解明した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後,ジヒドロレスベラトロール配糖体の糖部分の修飾に関する化学的な研究を継続する。また,ジヒドロレスベラトロールグルコシドの配糖体構造に着目して,水溶性に富む新しいメラニン形成調節剤の開発に着手する予定である。
|