2015 Fiscal Year Research-status Report
陸棲シアノバクテリアにおいて発見した新規紫外線吸収色素の生合成経路の解明
Project/Area Number |
15K01799
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
坂本 敏夫 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (70324069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松郷 誠一 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (30148126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 配糖体 / シンテニー / 精密質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
陸棲シアノバクテリアNostoc commune(イシクラゲ)から新規MAA誘導体を単離・精製した。精製したMAA誘導体は312 nmと340 nmに吸収極大を示し,3-アミノシクロヘキセン-1-オンと1,3-ジアミノシクロヘキセンの2つの発色団を持つことが示唆された。新規MAA誘導体の分子量は,756 Da,予測される組成式はC34H52N4O15であった。これらは既知の1050 Da-MAA配糖体のアグリコンと一致した。この新規756-Da MAAは遺伝子型Cが産生する主要なMAAであると考えられる。 これまでに明らかとされているシアノバクテリアのMAA生合成経路では,ペントースリン酸経路の中間代謝物セドヘプツロース7-リン酸がジメチル4-デオキシガデュソール合成酵素(mysA遺伝子産物)およびO-メチル基転移酵素(mysB遺伝子産物)により4-デオキシガデュソールに変換され,引き続きmysC遺伝子産物によりグリシンが付加されてマイコスポリン-グリシンが生成する。MAAを生産するシアノバクテリアでは,mysABC遺伝子座がよく保存されている。一方で,マイコスポリン-グリシンにアミノ酸を付加する酵素には非リボソームペプチド合成酵素とD-Ala-D-Alaリガーゼ(mysD遺伝子産物) の2種類があり,シアノバクテリア種ごとに使い分けられている。イシクラゲ(遺伝子型A)とNostoc verrucosum(アシツキ)からmys遺伝子群を単離して部分塩基配列を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子型Cが新規のMAAをもつことが明らかとなり,精製物を用いて精密質量分析を行うことができた。また,イシクラゲ(遺伝子型A)のmys遺伝子群を確認するに至った。これまでのところ研究当初に予定したとおりの成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規MAA誘導体の精製物を5 mg程度確保し,NMR解析を行って化学構造を決定する。イシクラゲとアシツキについてmys遺伝子群の塩基配列を決定して両者を比較する。引き続きイシクラゲ(遺伝子型B)についてmys遺伝子群の探索を進めて,ハイブリッド型MAA(分子量1050 Da)の生合成経路の解明に迫る。
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Research Products
(4 results)