2016 Fiscal Year Research-status Report
選択的キナーゼ阻害剤の創製を指向したラメラリン系軸不斉分子の開発
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15K01802
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福田 勉 長崎大学, 工学研究科, 助教 (80295097)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラメラリン / 軸不斉 / アトロプ異性体 / プロテインキナーゼ / ハロゲン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、海洋天然物ラメラリンNの特徴的な分子構造に着目した、選択的CMGCキナーゼ阻害剤の創製を指向した、ラメラリン系軸不斉分子の開発である。 今年度は、下記の研究成果を得ることができた。 (1) 昨年度、未解決の課題であった12-ブロモラメラリンN誘導体の絶対配置の決定であるが、X-線結晶構造解析により達成することができた。 (2) 昨年度までに得られていた16-ブロモラメラリンN誘導体および12-ブロモラメラリンN誘導体のアトロプ異性体について、それぞれについて脱保護の条件検討を行った。その結果、目的とする16-ブロモラメラリンNおよび12-ブロモラメラリンNの光学活性体へと誘導できた。 (3) 16-ブロモラメラリンNの光学活性体である(aR)-体および(aS)-体について、CMGCキナーゼを含むプロテインキナーゼ類の阻害活性評価を実施した。その結果、(aR)-体および(aS)-体間でプロテインキナーゼ阻害選択性に差があることが判明した。本結果は、研究代表者の仮説の正しさを示唆するものである。 (4) ラメラリンN誘導体のF環部への位置選択的クロロ化について、条件検討を実施した。その結果、位置選択性には検討の余地があるものの、16-クロロラメラリンN誘導体および12-クロロラメラリンN誘導体を得ることができた。また得られた16-クロロラメラリンN誘導体および12-クロロラメラリンN誘導体について光学活性カラムを用いたMPLCによるアトロプ異性体の分離を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究においては、12-ブロモラメラリンN誘導体の絶対配置決定、16-ブロモラメラリンNおよび12-ブロモラメラリンNの光学活性体の合成、16-クロロラメラリンN誘導体および12-クロロラメラリンN誘導体のアトロプ異性体の合成を達成した。また、16-ブロモラメラリンNの(aR)-体および(aS)-体について、プロテインキナーゼ阻害活性評価を行うことで、研究代表者の仮説の正しさを証明することができた。さらに、従って研究は、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は次のような研究を実施する予定にしている。 (1) 16-クロロラメラリンN誘導体および12-クロロラメラリンN誘導体のアトロプ異性体の絶対配置決定を行う。 (2) 16-クロロラメラリンNおよび12-クロロラメラリンNの光学活性体を合成・活性評価を行い、プロテインキナーゼ阻害活性におけるハロゲノ基の影響について調査する。 (3) 軸不斉を持ったハロゲノラメラリンの効率的合成を行うため、動的速度論的分割を利用した16-ハロゲノラメラリンN誘導体および12-ハロゲノラメラリンN誘導体のアトロプ異性体の不斉合成について検討する。
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Causes of Carryover |
交付された助成金を真摯に使用していった結果、当初予定よりも、物品費、旅費、人件費・謝金、その他の費用をそれぞれ節約することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた使用計画に加え、プロテインキナーゼ阻害活性評価の依頼、動的速度論的分割によるアトロプ異性体の不斉合成の検討に必要となる薬品を購入にあてる。
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