2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞上での蛋白質凝集体のモノマー間インターフェイスの解明
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15K01804
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
照屋 健太 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30372288)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 異常型プリオン蛋白質 / クロスリンク / 多量体 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は夾雑系において異常型プリオン蛋白質特異的に異常型プリオン蛋白質どうしのクロスリンクを引き起こすある色素化合物Aを見出してきた。本年度はこの反応について条件検討を行い、特徴の抽出を行った。 添加化合物については硫黄を含む芳香環を持つ化合物がクロスリンクを引き起こしやすいという共通点がみられたが、これらの化合物群では当初見出した化合物以上の効力を発揮する化合物を見出すことはできなかった。次に様々な色素化合物について同様の試験を行った結果、非常にクロスリンク活性が高い二つの化合物B,Cを見出した。これらは硫黄を含む芳香環を含まないことから別の経路によるクロスリンクの促進が示唆された。これらの知見を基に紫外線照射を試みたところ上記特異的クロスリンク反応がみられ、上記の化合物A,B,Cを共存させるとさらに効率のよい反応が得られることがわかった。研究計画に沿い、化合物A,Bを吸着させた樹脂に対して、異常型プリオン蛋白質が結合するか否かを、細胞溶解液を用いて検討したが、化合物AやBと異常型プリオン蛋白質の直接の結合はこの溶媒条件下においては見られず、化合物A-Cは紫外線照射によるクロスリンク反応の増感剤であることが示唆され、クロスリンクに組み込まれるような反応ではないと考えられた。 以上の結果に加え、クロスリンクされた異常型プリオン蛋白質の性状についてはこれまでに得られていた知見に加え、尿素のような変性剤や還元剤に対して抵抗性であった。化合物Aおよび紫外線照射によって誘起される異常型プリオン蛋白質の多量体化は分子間の強固な水素結合によるものではないことを示している。一方で、もともと夾雑系であった反応系に芳香族アミノ酸等を添加してもクロスリンク反応の抑制は見られなかった。これらの実験的事実は異常型プリオン蛋白質の凝集体としての構造的特徴を反映していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた試験は全て実施した。 その結果、次年度の計画に向けて、安定した異常型プリオン蛋白質のクロスリンク体を調製するための反応条件は整ったと考えている。化合物検索の結果は、紫外線照射が反応促進に有効であると考えつくヒントとなった。具体的なクロスリンク体の調製には、上記の化合物A-Cの内、作用が強かったBをクロスリンクの増感剤として利用する。また、今年度新たにこのクロスリンク反応は、生細胞系で培養時に4日ほどかけて行っていたが、細胞溶解液を用いて、1時間程度の反応で同等の反応が得られることが判明した。そのため、材料となるプリオン持続感染細胞の細胞溶解液をある程度ストックすることが可能となった。 化合物A-Cを吸着させた樹脂への異常型プリオン蛋白質の結合がみられなかったのは予想外であった。そこで、この試験に並行して、ポジティブ・ネガティブコントロールとして様々なカラムへの吸着や溶出条件を検討、ウエスタンブロットでの追跡を計画に加えて実施した。その結果、異常型プリオン蛋白質およびプロテアーゼ耐性コアの、当該溶媒条件における挙動をある程度把握できた。次年度はこれらの挙動追跡の結果のスケールアップを図らなければならないが、それに資する結果であると考えている。具体的には、蛋白質変性を起こさせない条件における核酸の除去を行う前処理が回収率を大きく作用することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度への計画通り、このクロスリンク体の化学構造の同定に向けて研究を行う。この計画のためには十分量のクロスリンク体の精製品が必要となる。進捗状況の項に述べたように、その準備として各種カラムでの挙動の追跡、および、細胞溶解液のストックを継続している。 方法は、前処理、カラム処理に加えて沈殿法を援用する。異常型プリオン蛋白質は部分分解により、プロテアーゼ耐性コアに変換すると凝集しやすい性質があるので、この方法も精製スキームに組み込む。また、細胞由来のプリオン蛋白質は翻訳後修飾を受け、二か所の糖鎖とC末端部にGDPアンカーを有しているが今後の解析の単純化のため、それらの翻訳後修飾を除去しつつ、試薬を除く方法も組み込むべきであると考えている。いずれにせよ、目的物の追跡を行いながら試行錯誤の末、これらの手段の組み合わせの最適化を行う。精製の到達目標はSDS-PAGEで単一バンドで得られることである。 解析はそのゲルからの蛋白質分解と質量分析による。
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[Presentation] Evaluation of Hydroxymethylcarbonyl and Hydroxyethylamine Isosteres in a Superior BACE 1 Cheavage Sequence for BACE1 Inhibitors.2015
Author(s)
Kazuya Kobayashi, Yasunao Hattori, Ayaka Deguchi, Yukie Nohara, Tomomi Akiyama, Kenta Teruya, Akira Sanjoh, Atsushi Nakagawa, Eiki Yamashita, Kenichi Akaji
Organizer
7th International Peptide Symposium
Place of Presentation
Republic of Singapore, Singapore
Year and Date
2015-12-09 – 2015-12-11
Int'l Joint Research
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