2015 Fiscal Year Research-status Report
ウワバゲニンのLXRを標的とした内在性血圧調節因子としての機能解明
Project/Area Number |
15K01817
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 理 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (30362619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウアバゲニン / 肝X受容体 / 生理活性 / 生体分子 / 上皮性ナトリウムチャネル / 集合尿細管細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝X受容体(LXR)のリガンド結合部位(LBD)を種々のタグとの融合タンパクとして発現させることを試み、その発現及び精製条件を精査することで可溶画分へと調製することに成功した。しかしながら、これらをセンサーチップに固定化して表面プラズモン共鳴分析(SPR)を行ったが、ウアバゲニンと結合は認められなかった。本検討は、既知のT0901317を用いても明確な結合を示すセンサーグラムが得られなかったことから、LXR-LBDの純度不足、固定化位置が不適正、LXRへの結合解析にはSPRは不向きである、などの可能性が考えられた。さらにLXRとウアバゲニンの結合解析を行うべく、等温滴定型カロリメトリー法(ITC)やSPAシンチレーションビーズを用いた方法を検討している。SPAビーズを用いる方法では、放射ラベル化されたウアバゲニンが必要となるが、既に市販のトリチウム化ウアバインから酵素反応によって糖部を切断することで、[3H]-ウアバゲニンの調製を完了している。 一方、マウス腎臓集合尿細管由来細胞M-1に対してウアバゲニンを処理することで上皮性ナトリウムチャネルENaCの発現量が低下することを明らかにできた。また、その活性強度は既知のLXRリガンドとほぼ同等であった。また、LXRの2つのサブタイプ(アルファ、ベータ)について選択的なノックダウン条件を検討し、siRNAを用いてその方法を確立した。さらに、LXRベータをノックダウンすることでLXRリガンドが引き起こすENaC発現抑制効果が消失することを見出した。LXRアルファのノックダウン条件下においては、非ノックダウン条件下と同様にLXRリガンドはENaCの発現を抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LXRとウアバゲニンの直接的な結合の証明にはさらなる検討が必要であるが、各種タグペプチドとの融合タンパクとすることでLXR-LDBの発現と精製方法については確立することができた。細胞を用いた実験においては、当初の計画通りENaCの発現抑制を確認することができた。また、LXRの選択的なノックダウンの検討についても、東京大学理学系研究科の程准教授に的確なアドバイスを頂き設計したsiRNAを用いることで高効率かつ高選択的なノックダウンを実現できた。これによって、目的通りLXRリガンドがベータサブユニットを経由してENaCの発現を抑制していることを明らかにできた。これらの成果の出方は、本プロジェクトが概ね計画通りに進行している証左と言える
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Strategy for Future Research Activity |
ウアバゲニンの機能については、計画ではマウス腎集合尿細管由来細胞で起こるENaCの発現抑制がヒト由来細胞でも引き起こされるか検討する予定であるが、その検討に先んじてin vivoマウスへの展開を行う予定である。培養細胞で起きた現象が個体では起こらない場合、ヒト由来細胞への検討はその意義が薄くなるからである。マウス個体でも腎臓でのENaC発現抑制が確認できた場合、マウス個体で血圧降下が起こるかの検討とヒト由来細胞への検討を進める。 直接的な結合に関しては、計画通りITCを用いて検討するのに加えて、SPAビーズを使っても行う。また、LBDを欠損させたLXRをコードしたプラスミドを使って、間接的な証明についても考慮して進める。
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Research Products
(7 results)