2016 Fiscal Year Research-status Report
酵素活性を指標とした新規リガンド探索法の開発と機能性二環状Dペプチドの創製
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15K01818
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 剛 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (90345380)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リガンド探索 / ペプチドライブラリ / 相互作用検出 / タンパク質スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内におこるタンパク質の異常・機能破綻は、多くの疾患の発症を引き起こす原因となる。そのため、それらのタンパク質の挙動の解析や、機能制御は重要であり、それらのタンパク質に結合する合成リガンドの探索が精力的に行われている。そのような合成リガンドの候補として、簡便に高い多様性をもつライブラリを構築できるペプチドは、特定の標的タンパク質に結合する分子を人工的に構築するためのツールとして有用である。当研究グループでは、化学合成したペプチドライブラリから、標的となるタンパク質に相互作用する分子を効率的に探索するための新手法として、リガンド-タンパク質間の相互作用を酵素活性として読み出す新しい検出方法(IDNCL-PTS)法の開発を行っている。この方法を用いて、がん関連タンパク質である、RasやSH2ドメインに結合する合成リガンドの探索を進めている。 平成28年度は主に、SrcSH2ドメインを標的として、アミノ酸20種類で構成されたポジショナルスキャニングペプチドライブラリを合成し、IDNCL-PTS法を用いた結合分子の探索を行った。ライブラリは、ポジショナルスキャニングライブラリ法により、リン酸化チロシンを含む、アミノ酸4残基からなるもの(計60ペプチド群)を個別に合成した。合成したペプチドライブラリを用い、IDNCL-PTS法により、SrcSH2と結合するペプチドの探索を行った。βガラクトシダーゼ活性を指標とした検出により、3種類の高結合活性をもつペプチドの探索に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、新しいリガンド探索法として当研究グループ独自に開発した、相互作用依存ペプチド連結反応およびタンパク質トランススプライシング(IDNCL-PTS)法を用い、がんなどの疾患関連タンパク質に結合する合成ペプチドリガンドの探索を試みている。平成28年度は、IDNCL-PTS法を利用して、標的タンパク質SrcSH2に結合するペプチドの探索に成功しており、順調に研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成29年では、SrcSH2を標的として行った実験結果をもとに、様々なSH2タンパク質(Csk, Abl, SHP2など)を標的とした合成リガンドの獲得、二環状ペプチドライブラリからの探索法の確立などを進めて行く予定である。また、SH2ファミリー以外にも標的タンパク質を設定し、本手法の有用性を実証する。これら得られた研究成果を論文発表や学会発表で報告する。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進んでいるが、平成29年度の予算額が平成27、28年度と比べて少なく、Dアミノ酸からなる合成ペプチドライブラリを作製するための試薬類の購入予算を平成29年度へと廻したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ペプチドライブラリ合成のための試薬購入などに使用する予定。
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