2015 Fiscal Year Research-status Report
概日リズム安定化機構に関わるニューロン-グリア細胞間相互作用の解明
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15K01831
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 快洋 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 学術研究員 (90399824)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物時計 / グリア細胞 / 蛍光イメージング / 細胞内カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グリア細胞の一種であるアストロサイトに注目し「哺乳類の生物中枢時計である視交叉上核(SCN)における中枢時計安定化機構に対する概日性ニューロン-グリア細胞間相互作用を解明する」ことを目的とする。 平成27年度に実施した研究では、アストロサイトのみに注目し、微小区画上でアストロサイト(グリア細胞)を隔離培養した上で、アストロサイト内の機能分子動態を蛍光メージング法により長期間(一週間)リアルタイムで可視化することを試みた。特に、アストロサイトの活動の指標として細胞内Ca2+濃度の変動を計測出来る蛍光プローブ(GCaMP6f)をアデノ随伴ウイルスベクターにてアストロサイト特異的に発現させ、1時間おきに168時間連続計測と、1秒おき約10分間の計測を各1時間おきに連続測定する2つのプロトコールを組み合わせた蛍光長期イメージングを行なった。実験の結果、アストロサイト特異的に細胞内Ca2+変動を長期に渡り計測することに成功した。また、微小区画内のアストロサイトは、測定期間中、ダイナミックに細胞内カルシウムが変動するだけでなく、形態も大きく変え微小区画内を盛んに動きまわることが当初の予想に反して明らかとなった。後者においては、定量解析の際も問題となってきているので、平成28年度以降、培養方法に改良を行い問題を解決していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の当初の計画であるアストロサイト内の細胞内機能分子(特にCa2+)の長期蛍光計測に成功し、長期に渡るダイナミックなCa2+の変動を捉えることができている。しかしながら、微小区画内のアストロサイトは、測定期間中、ダイナミックに細胞内カルシウムが変動するだけでなく、形態も大きく変え微小区画内を動きまわることが明らかとなってきた。これは、当初想定していたことを超えており、概日変動を捉えるための定量解析の際に大きな問題となっているが、28年度内に培養条件に改良を加えるなどを行い問題を克服する予定である。一方で、微小区画培養法を用いて隔離単一ニューロンからの蛍光長期イメージングも行い、Ca2+の概日変動を捉えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、微小区画内アストロサイトのダイナミックな細胞内Ca2+変動を定量的に解析していくためにも、形態も大きく変え微小区画内を動きまわるアストロサイトを、その機能を変えずに動きを抑えた状態で培養できる条件を検討する。そのために、細胞接着表面の材質を変える、二次元表面に培養されたていた細胞を、3次元空間内に閉じ込めた形で培養するなど、培養条件をまさに現在検討しているところである。また、形状を変化させ移動していく細胞を逐次的に追跡解析できるプログラムを作成していく。一方で、単一ニューロン単独の細胞内Ca2+の蛍光イメージングにはすでに成功しているので、今後は、アストロサイトと単一ニューロンを異なる蛍光波長で同時に長期計測していく予定である。これらが達成できれば、平成28年度の当初予定にある遺伝子欠損動物由来の細胞における同時イメージングは容易に達成できるものと考えている。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった顕微鏡チャンバーを他の低価格のもので代用することが出来たこと, および格安航空券や早割システムを利用したことにより旅費を抑える事ができたことにより大幅な経費節約ができた次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費節約によって生じた未使用額189,362円については、平成27年度より価格改定による高騰のあった動物飼育経費として今年度分に使用する。
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Research Products
(4 results)