2017 Fiscal Year Research-status Report
電磁気脳刺激による治療評価を可能とする可塑性イメージング技術の確立
Project/Area Number |
15K01834
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
阿部 十也 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (60588515)
|
Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 学習 / 可塑性 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の神経回路は学習によって形態のリモデリングを起こす。前年度、開発したMRI技術を用いて、学習と回路微細構造の変化の関係を調べた。ラットにバーンズ迷路課題(6日間、計12試行)を行なわせ、その前後でMRI信号変化を観察した。空間学習に関係のある海馬で信号変化が見られた。今年度、サンプル数を増やしながら、このMRI信号変化に行動と結びつく生物学的意義があるのかを調べた。6日間のバーンズ迷路課題の前後だけでなく1週間後に新たに測定ポイントを追加し、MRI計測および空間記憶の成績を調べた。
迷路課題前後で左海馬にMRI信号変化を認めた。学習効果が大きい個体ほど、そのMRI信号変化が大きかった。その信号変化部位は、MRIアトラスで歯状回/CA3に相当する部位であった。既報では、その部位で学習に伴い軸索発芽が起こることが知られている。 課題終了後から1週間後にかけてMRI信号に変化があるかを調べた。この間、課題を追加で行っていないにも関わらず、課題終了後も引き続きMRI信号変化があった。その信号変化は1週間後の記憶テストの成績と相関していた。
以上から、MRI信号変化は学習・記憶と関係のある形態変化であると結論づけた。軸索発芽のイベントがMRI信号変化と関係があるかを調べている。軸索発芽の誘導モデル、薬剤阻害を用いて海馬解剖専門家と共同研究を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRI信号変化が学習・記憶と関係のある、生物学的意義を持つことが分かった。 さらに信号変化部位から軸索発芽と関係があると仮説を絞り込むことができた。その仮説に基づいて組織とMRIの関連づけを調べている。
|
Strategy for Future Research Activity |
軸索発芽の誘導・阻害する実験系を用いて、軸索発芽とMRI信号変化との関連づけを調べる。その他の微細構造変化(例えば、神経新生、スパイン変化など)の関与を除外して特定する。
|
Causes of Carryover |
共同研究者と話し合い、MRI信号変化と組織の対応を来年度も続けることにした。薬剤、ラット、免疫組織試料の購入に充てる。
|
Research Products
(4 results)