2016 Fiscal Year Research-status Report
マルチモーダル計測による共感情動発生・維持機構の解明
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15K01845
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
向井 秀夫 明治大学, 理工学部, 専任講師 (20534358)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 行動解析 / 大脳辺縁系 / 帯状回 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き、動物の共感行動を構成する諸行動について、研究実施計画に基づき、主に条件づけによる『観察による恐怖』(Observational Fear)などを使うことによって研究を進めた。この方法は、条件づけボックスに入れた動物に比較的弱い電気刺激を与え、その様子をもう一方の刺激のない箱に入れて観察させ、当該の動物の不動行動時間を測定することにより、共感行動の反映を検出しようとするものである。その結果、条件づけの成立には、実験に使用する動物(マウス、ラットなど)の系統に依存する可能性が強く示唆された。一部の系統の動物では共感行動が成立しにくい可能性があるので、今後は利用可能な系統をさらに加えて実験を行う予定である。また、脳の凍結切片による組織化学的解析を進めており、情動行動に関連するオキシトシン等の分子の分布について結果を得つつある。さらに、本研究は多面的な手法を動員することを目標の一つとしているので、行動の解析に関して新規な方法を提示することを目的として、近年成長が著しい分野である機械学習における畳込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)を採用することを目的として、(半)自動的な解析方法の作成を進めた。畳込みニューラルネットワークは、画像処理の分野で数多くの国際的コンテストで優秀な成績を収める極めて重要で不可欠な手法となってきているが、動物の行動解析に用いられたことはまだほとんどなく、実用に供することができれば大きな進歩となる。現在までの結果では、情動行動の際に従来重要とされてきた不動(すくみ)行動以外の行動も重要である可能性が示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度に引き続き、動物の共感行動を構成する諸行動について、研究実施計画に基づき、『観察による恐怖』(Observational Fear)などを使うことによって研究を進めた。行動実験の系はカメラの設置位置の支えを3Dプリンタで加工するなど、多少手直しを要したものの、概ね順調に稼働することができている。また、脳切片の組織化学的検討も概ね順調に進んでいるといえる。 本研究では行動の解析に関して多様なアプローチを創出することを目的としており、近年激しい勢いで発展を続けている深層学習(ディープラーニング)における代表的な手法である畳込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)について、研究に取り入れて解析方法の向上を進めることができたのは、研究代表者らのオリジナリティを生かした大きな進歩であったと思われる。 今後は成果の発表にも注力したいと考えており、今年度は世界最大規模の神経科学の国際学会(投稿済み)や国内学会における発表などを計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、動物の共感行動を構成する諸行動について、主に条件づけによる『観察による恐怖』(Observational Fear)などを使うことによって研究を進めているが、研究業績の概要の部分で述べたように、条件づけの成立には、実験に使用する動物(マウス、ラットなど)の系統に依存する可能性が強く示唆されている。このことが研究遂行の効率上の課題となる可能性もあるので、その場合には、より条件づけの成立しやすい系統の動物で実験を行うこと、または共感行動を測定する際の要素的行動である単独での恐怖条件づけの解析を進めることで対応したいと考えている。その場合でも、本研究で進めている行動の解析に関して導入を行っている機械学習や畳込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)の採用による新規な方法の開発には要素技術として十分価値があるものが提示できると考えられる。また、本研究は年度途中の10月末に採択されていることから、当初予定の研究期間(3年)に対して研究期間が不足することも予想されるので、研究期間延長も視野に入れつつ研究遂行に尽力したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じている理由の第一としては、本研究は10月末に採択が決定したことがあり、昨年度の終了時で2年ではなく1年半経過となっているためである。また、国民の税金により助成金が支出されていることから、学内等で利用可能な設備・物品などを可能な限り利用して極力節約を心がけて使用していることが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は最終年度であるので、合わせた使用額をできるだけ有効に活用していく。先述のように、学内で他研究室から借用することなどが可能な設備・物品などを十分利用して、極力節約を心がけて、最大限の効率で成果につなげるように適正な支出を行う。
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