2015 Fiscal Year Research-status Report
霊長類大脳の物体視経路における色と形の処理経路の分離と統合のメカニズム
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15K01851
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
谷川 久 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (40373328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一戸 紀孝 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 微細構造研究部, 部長 (00250598)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経回路 / 高次視覚野 |
Outline of Annual Research Achievements |
霊長類大脳において、色と形の視覚情報は異なる脳領域で別々に処理され、その後統合されると考えられている。本研究では、霊長類の高次視覚野における色と形の処理経路の神経基盤を明らかにすることを目指している。本年度は、以下の研究を実施した。 ①ニホンザルの高次視覚野である下側頭葉皮質における神経結合の生後発達を調べる研究を行った。その結果、下側頭葉皮質では生後7日ですでに大人と同様の内在性水平軸索投射パターンが形成されていることが明らかになった。一方で、内在性水平軸索の終末ボタンの数は、生後の発達に合わせて徐々に増えていくことが分かった。以上のことから、水平軸索投射パターン形成において視覚経験は重要ではないが、終末ボタンの増加には、視覚経験が重要であることが示唆された(Wang, Tanigawa, et al., Cereb Cortex 2016)。 ②下側頭葉皮質と前頭前野における色の想起の神経基盤を明らかにするため、色の想起を必要とする行動課題を遂行中のニホンザルにおいて皮質脳波法を用いた実験を行った。その結果、前頭前野の一部において、色の想起に関わるシータ波(4-8Hz)の活動が観察された。一方で、下側頭葉皮質では、そのような活動は観察されなかった。このことから、前頭前野のシータ波の活動が色の想起に重要な働きを持つことが示唆された(Tanigawa et al.; 日本神経回路学会 全国大会 2015)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度には、注視課題遂行中のサルの高次視覚野から色と形の処理に関わる脳部位を内因性光計測を使って可視化し、それらの脳部位からの神経投射パターンを解剖学的に調べる予定であった。2頭のサルにおいて行動課題訓練を開始した。しかしながら行動サルから安定して内因性光計測を行うために、CCDカメラの固定装置やモンキーチェアの設計に変更を加える必要が生じたため、27年度中に内因性光計測を開始できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
内因性光計測のための設備が全て整ったので、28年度には内因性光計測を開始する予定である。遅れを取り戻すため、2頭のサルからの内因性光計測を同時並行で行っていく予定である。
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