2016 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質運動野におけるベータ脳波の機能的意味を解明する
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15K01854
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 秀典 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00407686)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ベータ脳波 / オプトジェネティクス / サル / 皮質運動野 |
Outline of Annual Research Achievements |
霊長類におけるベータ脳波の機能的な意味については不明な点が多い.本課題ではベータ脳波発生中の神経回路の活動を制御して,動物の行動変化を記録することで,ベータ脳波の機能同定を試みる.この目的のため光遺伝学手法(オプトジェネティクス)を導入する. 本年度は,青色光反応性の光遺伝学分子ツール(チャネルロドプシン)についてサル皮質運動野神経細胞に発現させる方法を確立するために,昨年度開発完了したベクタを主にして3頭のサルを使って実験をした.ベクタの注入手法の選定や多重注入を試み,光刺激に対する神経細胞応答を記録した.実験結果は複数個体間で再現性を有し,サルにおける光遺伝子発現手法を十分な確度を有して確立できた. また並行してベータ周波数帯域の脳波の発生時に,リアルタイムに脳波の任意の位相に光/電流刺激を可能にする刺激装置の実装を完了させた.装置は一般的に市販されている制御回路に申請者が開発したコードをインストールすることで比較的低廉に作成することができた.本装置によって時間的に精緻に制御されて脳波に同調された刺激に対する神経・行動応答の記録が可能になった. 更にベータ脳波発生中の神経回路を構成する神経細胞集団の活動を記録するために,上記とは別個体のサル1頭について,運動課題を十分に訓練し,その皮質運動野に多点電極を慢性留置した.電極留置は成功し,運動課題中のマルチチャネル神経活動記録を4カ月以上継続している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに実験セットアップを完了させ,またサルに開発されたベクタの注入を終えていた.所属機関が有していた実験動物の優先使用が許可された.ベクタ注入と光刺激応答の技術提供を受けた.開発中の多点電極の先行提供を受けた.研究支援者の技能が向上し,研究者の負担が減少した.
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Strategy for Future Research Activity |
光刺激に対する筋活動応答記録を試みる. 注入遺伝子の発現形態を解剖学的に同定する. 現在までの成果を国際学会・論文誌に発表する.
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Causes of Carryover |
実験動物としてのサル2頭の代金が予定よりも高騰した.またサル飼育設備と搬入時期を調整し,サルを年度末近くに入荷した.結果的に購入金額の決定が年度末直近になり,予算差が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析用の計算設備,大型計算機使用料,学会旅費,論文発表費用,消耗品などに使用する.
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Research Products
(3 results)