2015 Fiscal Year Research-status Report
中国におけるメディア融合戦略と世論形成空間の変容に関する調査研究
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15K01859
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西 茹 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (50533569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 潔司 桜美林大学, 言語学系, 教授 (20312407)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国 / 東アジア / メディア / 世論 / インターネット / 融合 / 政治コミュニケーション / 言論の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国共産党と政府が打ち出したメディア融合戦略の実態とその狙いを明らかにし、さらにメディア再編に伴う中国の世論形成空間の変容を検討しようとする。 平成27年度は、実施した研究内容は下記の5点にまとめられる。①中国共産党と政府のメディアに関する政策を収集し、解読をおこなったこと、②中国における伝統メディアと新興メディアの融合のモデルと言われるスマートフォン向けのオンラインニュースサービス「澎湃新聞(澎湃ニュース」について考察を行い、関連文献の検討も行ったこと、③中国共産党機関紙と中央テレビ放送のオンラインニュースやSNSの利用について考察を行ったこと、④上海、北京、アモイ、福州で大学などの研究機関とメディア現場の聞き取り調査を行い、意見の交換などの作業を行ったこと、⑤研究分担者、来日中の中国メディア研究者及び研究代表者の研究室に所属する大学院生が参加した勉強会を開催し、中国メディア研究をめぐって研究報告や意見交換を行ったことである。 上記の研究によって、目覚ましい経済発展とIT化が進行する中国社会において、中国政府は伝統メディアと新興メディアを融合させ、一体化させることによって、共産党が掲げる価値観を多元化社会に注ぎ込み、党の指導の下で社会統合を図り、さらに統治基盤を固めようとする狙いが明らかになった。メディア再編に伴い、党がメディアを管理する体制が強化される一方で、読者志向の都市報の衰退と伴に、芽生えたメディアの権力監視機能が危機に陥ったのは現状である。こうした調査研究によって得た知見を、公益財団法人新聞通信調査会発行の月刊『メディア展望』において「中国メディア事情」という連載の形式で公開している。 今年度の科研費は、①上記の研究を遂行するための文献の購入費、②資料整理などの作業を行ってもらう研究補助員への謝金、③現地調査や学会の参加の旅費に当てられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由は①資料収集と検討②現地調査③事例の考察④代表者と分担者との間で常時、タブレット端末を使った情報交換を行い、情報、研究成果の共有化が、基本的にスムーズに計画通りに行われたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
①上海の「澎湃新聞(澎湃ニュース)」、党機関紙の「人民日報」とそれのオンラインの情報発信とSNSの利用、読者志向の大衆紙「新京報」についての考察を引き続き行う。 ②インターネットやメディアに関する政策について、引き続き資料を収集し分析を行う。 ③現地調査を実施する。 ④中国のメディア研究者を招き、北海道大学でワークショップやシンポジウムを開催する。 ⑤中国で開催される国際シンポジウムに参加し、研究発表を通じて意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度において、購入を予定していた中国書籍と文房具の入荷が遅れたため、25,962円の未使用額が発生した。その未使用額は今年度において資料購入費として使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
25,962円の未使用額は今年度において資料購入費として使用する予定である。
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