2016 Fiscal Year Research-status Report
東アフリカにおける高卒若年滞留層のライフコースと地方定着化/再流動化モデルの構築
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15K01860
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
白石 壮一郎 弘前大学, 人文社会科学部, 講師 (80512243)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高学歴化 / 地域間移動 / 階層間移動 / 就業・就学待機 / アスピレーション維持 / 社会関係資本 / ライフコース戦略 / 東アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
5月~7月は、2015年度の現地調査で収集したデータの整理、関連研究の論点把握につとめた。2016年8月中旬より9月上旬にかけて、ケニア共和国の首都近郊部および地方都市エルドレットにて現地調査をおこなった。調査目的は、(1)高学歴若年層の生活実態や未就業状況、知人・友人関係の把握、(2)大学進学や留学・就職についてのアスピレーションの把握であった。現地では、セカンダリースクール・専修学校卒業者、大学学部在学者・卒業者にインタビューをおこない、とくに女子に絞って姉妹と友人のネットワークを活用した生活実態について参与観察による事例調査をすすめた。 未就業状況については統計的に把握しづらいが、大学学部卒でもパブリック・セクターに就職している者は一握りのようである。ほとんどのセカンダリー卒以上の未就業の農村部出身者は卒業後も帰郷して就農(男子)や結婚(女子)という道を避け、都市部に滞留しインフォーマルセクターで雑業に従事する。たとえば参与観察をおこなった女子については古着行商、学生相手のタイピング代行やレター・レポート代筆業、零細雑貨店経営などであり、複数業のかけもちもみられる。それら雑業の一部は、従来は高学歴者は従事しないものと目されていた。また、業種選択には姉妹や友人をフォローするという影響傾向が顕著であることがわかった。しかし、こうした雑業からさらなる進学の資金を捻出するまでの収入は見込めず、ここにそうした現実のなかでのアスピレーション維持という課題が生ずる。 10月以降は現地調査で得たデータの整理につとめている。また、2017年3月には英国国立文書館(The National Archives)およびロンドン大学SOAS(東洋アフリカ研究学院)にて、東アフリカ地域の中等教育普及などについての植民地期(1900-1960年代前半)と独立直後(1960年代後半-1970年代)の文書資料を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた聞き取り調査だけではなく、参与観察も合わせておこなうことができ、調査対象である若者たちの日常生活の実態や意識に迫る効果的な調査が実施できた。 昨年度からの成果の一部を、ウガンダ国立マケレレ大学での国際セミナーで発表した。また、現在は投稿論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)上記調査データの分析・解釈の成果を2017年度中に投稿論文として公刊する予定である。 (2)当初の予定どおり、ウガンダとケニアとの比較研究のための調査をすすめる。場合によっては、集中的な参与観察・聞き取り調査をおこなった都市部に関しては補足データを電子メールやSNSなどを利用して収集することも考える。 (3)必要があれば、旧宗主国等においての文書館・図書館調査も継続的におこなう。
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Research Products
(3 results)