2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K01862
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
ティムール ダダバエフ 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10376626)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中央アジア外交 / シルクロード外交 / 中央アジアプラス日本 / 上海協力機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の達成目標は、「中央アジア地域に対する中国と日本の外交政策の比較研究」を行うことである。本研究の初年度の主な成果は中国と日本がこれまでに中央アジア地域で展開した協力の仕組みを理論的な側面から検討し、これらの中で特に目立つ機能主義について調査を実施したことである。その上で、第二の成果は、機能主義がなぜ中央アジア地域において強まっており、この地域の各国政府からも支持されているのかを検討をし、分析を行い、機能主義的なアプローチはこの地域における日本の外交政策に適用された場合より良い結果を生み出すという仮定に至ることができた。更に、本研究は日本によって支援され開始しているプログラムの多数の効率を増加させる必要性を明らかにした。これらの成果は複数の英文雑誌に公開され、その内日本の中央アジア外交政策のODAに関するものはJournal of Eurasian Studiesに掲載され、日本の中央アジア地域における水問題解決への貢献について Journal of Comparative Asian Developmentに公表された。中国による上海協力機構の存在と日本の中央アジアプラス日本との比較の観点と日本の独自戦略に関して、その分析は米国の著名な出版社であるPalgraveMacmillan社による著書Japan in Central Asia(『中央アジアにおける日本』)として刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおり、1年目に計画していた情報収集と日本及び中国の外交政策の現状について分析を行い、順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
外交政策の研究・比較の分野に関して先行研究は少なく、存在するものも限定したテーマなどに注目しており、より広い意味でのアメリカと日本の外交政策の理解と比較をしたものは限られている。さらに、両国の中央アジア外交政策の分析の中に中央アジア地域の政府の政策は受け身のように扱われており、中央アジア諸国の見方はほとんど扱われていない。 本研究の2年目において日本の中央アジア外交政策の特徴と中国の中央アジアに対する外交政策に研究対象を絞り、これらの特徴、発展過程と比較可能な部分の対比などを分析の目的とする。特に、中央アジア諸国と中国と日本の間にみられる協力をどのように概念化すべきか。これらの協力関係に影響を及ばす要因はなにか。日本と中国が中央アジアとの関わりをよりダイナミックなものにするうえで、ロシアやアメリカと中央アジア諸国の協力関係はいかなる示唆をあたえるのか。本研究は今後これらの問いを取り上げ分析する。
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