2019 Fiscal Year Annual Research Report
Common Cultural Foundations and People's Lives in the Maritime Areas of the East China Sea: Comparative Case Studies of the Japan-Korea Borderlands
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15K01870
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
金 明美 静岡大学, 情報学部, 教授 (50422738)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 東シナ海域 / 基層文化 / 民俗・生活文化 / 民俗宗教・儀礼 / 同年齢関係・集団 / キンドレッド / 女性の役割 / 移動・移住 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究実績として、大きく以下の四点が挙げられる。 一点目は、五島列島北部の小値賀島(長崎県北松浦郡)でフィールド調査を実施したことにより、生活文化へのアプローチから東シナ海域の基層文化を明らかにするという本課題にとって有益な現地資料が得られたことである。現地では小値賀町教育委員会の文化財担当の方にご案内・仲介いただき、本課題のフィールド調査上の四つの観点(①同年の関係や年齢集団、②キンドレッド(父方・母方の親戚)の繋がりを利用した人間関係の作り方、③民俗宗教・儀礼、④女性の役割)に関する具体的なフィールドデータを得ることができた。特に③と④に関して、村の女性たちにより維持されているお堂の祭りへの参与観察と聞き取りから、本課題を発展させる上で重要な知見が得られた(長崎新聞に紹介)。 二点目は、韓国南部の海岸部の多島海に面した麗水市(突山島を含む、全羅南道)、統営市と巨済島(慶尚南道)で、海女や漁業関係者を中心に済州島から/済州島への移動・移住者に対するインタビューとコミュニティ調査を行ったことで、上記四つの観点についてのフィールドデータだけでなく、海域での人々の移動と民俗・生活文化の形成の関係を考えていく上で示唆的な知見が得られたことである。 三点目は、済州島在住の研究者の依頼で、当人が長年収集してきた聞き取り資料に関する文献調査を行ったことにより、日本統治下での海女の移動や採取物に関する新たな知見が得られたことである。 四点目は、本フィールド調査の経験と知見を活かして、韓国の文化人類学会で招待講演(題目の日本語訳は「日本における前近代的共同体の再考:村落共同体研究の再検討と現地調査より」)を行ったことと、韓国の日本研究者の論文の英文コメンタリー(論評)を韓国のジャーナル(Korean Anthropology Review,vol.4)に掲載したことである。
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Research Products
(4 results)