2016 Fiscal Year Research-status Report
在日チベット人におけるネットワーク形成と共同性の再構築・維持
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15K01874
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Research Institution | Kanazawa Seiryo University |
Principal Investigator |
山田 孝子 金沢星稜大学, 人文学部, 教授 (20293839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
煎本 孝 北海道大学, -, 名誉教授 (50124227)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 在日チベット人 / ネットワーク形成 / 共同性再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本各地に居住する在日チベット人における伝統文化や共同性の維持・展開メカニズムを、ネットワーク形成、集いあう場、日本社会との共生・共存関係などに着目し、人類学的視点から実証的に解明することを目的とする。 平成28年度においては、研究代表者は、研究分担者とともにダライ・ラマ法王日本代表部事務所が開催したチベット亡命政府内務大臣ソナム・トプギャル・コルラツァン氏来日講演、ダライ・ラマ法王誕生祝賀パーティ、チベット亡命政府主席大臣ロブザン・センゲ氏による講演などを対象とする調査を実施した。また、研究分担者は、ダライ・ラマ法王による来日法話「入菩薩行論・文殊菩薩の許可灌頂」、「ダライ・ラマ法王秘密集会灌頂」、「ダライ・ラマ法王横浜講演2016」を対象に参与観察調査を実施するとともに、2017年1月2日~1月17日には、インドのブッダガヤのおけるダライ・ラマ法王による「カーラチャクラ灌頂伝授会」を対象とするフィールド調査を実施した。これらをもとに、在日チベット人の集いあい、日本人による支援、チベット人と日本人との双方向交流などの実態について分析を進めた。 さらに、研究代表者は主要全国紙のデータベースを利用し、1945年から2014年におけるチベット関連記事の収集・整理を行い、日本のマス・メディアによるチベット関連情報発信の時系列的展開の分析を継続した。この成果の一部を2016年6月17日~6月27日に、ノルウェーのベルゲン大学で開催された国際チベット学会第14回セミナーにおいて発表するとともに、研究論文としてまとめた。 以上から、仏教を介した宗教的連帯と緊密な日-蔵関係の継続、日本社会におけるダライ・ラマ14世のインド亡命以降のチベット難民社会に対する多方面からの支援の存在、在日チベット人社会におけるメディアを活用したネットワーク形成と共同性の維持などが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダライ・ラマ来日法話、在日チベット人の活動、新聞・メディアなどの情報をもとにした日-蔵関係の展開と現状など、チベット、ダライ・ラマをめぐる様々な活動を対象とするフィールド調査を実施し、当初の研究計画に沿って研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に基づき、これまでと同様の研究方法にもとづき、文献資料情報の補足収集、補足的フィールド調査の実施、各調査項目に関するデータなど研究の進捗状況の共有のもと、研究を進め、年度末には最終研究成果報告書をまとめる。
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Causes of Carryover |
当初の予定より、物品費への支出が少なくて済んだことによるものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には国際学会での研究発表を予定しており、英文校閲料として充当する計画である。
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