2016 Fiscal Year Research-status Report
民主化以降の韓国と台湾における政治と市民社会の相互作用の比較研究
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15K01886
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 敏行 札幌学院大学, 法学部, 教授 (80196526)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政治学 / 韓国 / 台湾 / 市民社会 / 政治 / 政党 |
Outline of Annual Research Achievements |
韓国については11月に2度(そのうち1度が本研究費の支出で)訪問して、朴槿恵弾劾要求デモを見てくるとともに、現地韓国の政治学者、政治評論家に会って政治状況についての説明を受けるとともに意見交換をしてきた。弾劾デモは、韓国政治で2000年以降に見られた蝋燭デモの一つになるが、やはり野党勢力への支持広がりと保守勢力の退潮という、2002年、2004年、2008年と同じパターンを繰り返している。今回のケースでは2002年と2004年に見られた蝋燭デモによる国政選挙への大きな影響を見いだせる。このような蝋燭デモを契機にした急激な政党支持の変化は再び急速に変化してきたことからも、2017年5月の大統領選挙後の韓国政治は、かつての盧武鉉大統領の任期の時と同じように政権の不安定化と混乱とが惹起される可能性が十分にあり、韓国政治が制度化された民主主義から「街頭の民主主義」に変質していく大きな契機になるのかがポイントになろう。 台湾については日本語文献を読み進める一方で、台湾政治に関する英語文献を単行本、学位論文(米国の大学)を収集することができた。 韓国政治では市民社会勢力の政治化が、政党政治の権力闘争、さらに有権者の党派支持の変化と関連しながら展開するという2000年代10年間の政治パターンが2016年にも再現した。台湾では民進党への2016年の政権交代以後、もっと大きくは2000年以降に市民社会勢力の活性化が見られたことはあるが、韓国政治ほどに政党政治を揺るがすほどには起きてはいない。政党政治と市民社会の組み合わせの在り様に、韓国と台湾で大きな違いがあるものと思われる。今後はこのような組み合わせの在り様を、これまで韓国について行ってきた「人的な結びつき」を中心に台湾についても考察していくことにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れた理由は、法学部の法律学科長として高校訪問を行う一方で、入試広報の業務を分担してきたために、思いのほか研究する時間が確保できないでしまった。そのため2015年度に引き続き、計画通りに研究が進捗しないできた。ただ文献収集について言えば、中国語の文献を除き、発注をほぼ終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
文献収集では日本語、英語の台湾政治に関する文献を収集し終えているので、2017年度はこれら文献の講読と整理に集中することにしたい。 また、韓国では大統領選挙が5月上旬にあり、その後の政局も混乱することが予想されるため、そのような混乱する政局の中で市民運動勢力がどのよう行動をとるのか注目していきたい。また台湾については、現地を訪問し研究に関連する文献(単行本、論文など)を収集したい。
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Causes of Carryover |
差額が「0」より大きくなった理由は、米国の大学の学位論文、台湾政治に関する英語文献の発注に予想外に時間がかかってしまい、2016年度内に購入することができなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに発注をほぼ済ませており、2017年4月以降に順次入荷する予定である。すでに入荷済みのもある。
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