2017 Fiscal Year Research-status Report
「1945年前後」「1949年前後」の台湾映画統制に関する基礎研究
Project/Area Number |
15K01893
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三澤 真美恵 日本大学, 文理学部, 教授 (90386706)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 台湾 / 映画統制 / 国民統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は病気療養のため、当初予定していた隣接領域の研究者を招いての勉強会や国内外での資料調査については実施することができなかった。 ただし、入院前までに進めていた本研究の成果(より正確には本研究を含む以下3つの科研:課題番号20652050、23510328、15K01893の成果)の一部として、国立台湾歴史博物館の協力のもと、29年8月31日にDVD付論集『植民地期台湾の映画』(三澤真美恵編、東京大学出版会)を刊行することはできた。植民地期を扱ったこのDVD付論集は、21世紀に入って新たに発見された植民地期台湾で流通していた映画フィルムおよび検閲済み脚本(いずれも国立台湾歴史博物館所蔵)に関する基礎調査および、その調査結果をもとにした異なる領域の復数の研究者による研究論文を収めたものである。これは、いわば本研究の課題における「1945年前後」の「前」の部分についての成果公開であり、これが「1945年後」および「1949年前後」との連続面と不連続面を問う際の土台になる。 そこで、研究会や新たな資料調査が実施できないなかで、専門的知識の提供が見込める隣接領域の研究者にこのDVD付論集を送付し、第一に植民地期に関して本論集の執筆者ではカバーしきれなかった領域からの情報の補充や多様な分析を、第二にこの植民地期に続く「1945年後」および「1949年前後」との連続面と不連続面を明らかにするという次の段階に進むために必要な関連資料や視点、方法論に関する情報を提供してもらえるよう呼びかけた。これによって、「1945年前」の台湾で流通していた映画およびその製作者に関する補足情報や「1945年後」との連続面に関わる視点について新たな知見を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度は病気療養のため、本研究を当初予定の通りに進めることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は病気療養のため本研究を当初予定どおりに進めることができなかった。本来ならば、最終年度となる平成31年度までに当初予定の研究計画を完了させるため、平成30年度以後に研究を加速させて遅れを取り戻すべきところである。しかし、現時点では国内外での資料調査を以前と同様に実施することができるか不透明な部分がある。そこで、まずは研究計画全体を見直し、現在の条件で実現可能な射程をあらためて検討したい。具体的には、「1945年前後」と「1949年前後」という二つの画期のうち前者のみを対象とする、映像資料のコンテンツ分析を活用するなど必ずしも新史料の発見にこだわらない手法に重点を移す、資料調査が予定どおりに実施できない場合は隣接領域の研究者を招いた勉強会の回数を増やす、といったいくつかの選択肢を考慮に入れ、適切な方策を検討することとしたい。さらに、必要な局面ではアシスタントを雇用して各地での資料調査を実施する可能性を探るなど、少しでも当初予定していた計画に近い形で研究を前に進められるように努力したい。
|
Causes of Carryover |
平成29年度は病気療養のため当初予定通りに予算を執行することができなかった。次年度使用額については「今後の研究の推進方策」に記載したように、新たに必要となる経費(資料調査に伴う人件費など)に使用する予定である。
|