2016 Fiscal Year Research-status Report
「ビルマ系日本人」は誕生するのか―家族のつながりとアイデンティティのあり方―
Project/Area Number |
15K01901
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
梶村 美紀 大阪経済法科大学, 国際学部, 准教授 (00534421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 天璽 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (40370142)
根本 敬 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (90228289)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ビルマ系日本人 / アイデンティティ / つながり / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、先行研究の検討を通し、日本に暮らす外国人の多様なアイデンティティのあり方をメンバー間で協議した。そのうえで、ビルマ出身者の特徴について、ビルマ社会情勢および来日前後の個人の経歴を中心に考察していく重要性を確認した。研究会を開催し、定住ビルマ人の宗教施設を中心とした企業家ネットワーク構築の特徴、定住ビルマ人言動をマジョリティとマイノリティの観点から相違点を検討し、ビルマ人コミュニティの日本定住過程を分析した。 また、国内外で聞き取り調査および参与観察を実施し収集したデータを検討した。東京調査では、2010年度科学研究費助成事業(基盤C)『在日ビルマ人ネットワーク形成をめぐる複合的研究:歴史的背景と日韓の実態比較』で明らかになった定住ビルマ人のエスニシティを超えた連帯が継続しながら進化しており、日本社会への積極的な歩み寄りを確認した。定住ビルマ人の多様なアイデンティティのあり方を証明しうるデータを収集し、ビルマ国籍やパスポートに愛着を感じる人がいる一方で、ビルマよりも日本への帰属意識が強い定住ビルマ人もいることが明らかになった。ヤンゴン調査では、帰国または両国を行き来する元留学生を中心に、東京調査では接点をもてなかったエリート層やマイノリティ層とつながることができ、アイデンティティのあり方を含む、本研究に不可欠なデータを収集することができた。 代表者梶村および分担者陳が『マルチ・エスニック・ジャパニーズ:◯◯系日本人の変革力』の一部執筆、分担者陳が『国際社会学入門』の一部執筆、分担者根本が『ビルマ研究会』にて、分担者陳が『Association for Asian Studies』にて、成果の一部を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の方向性を軌道修正し、2015年度の遅れを取り戻した。国内外での調査を実施し、データの整理および分析に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる今年度は、日本国内(関東・中部・関西)での聞き取り調査および参与観察の実施に重点をおき、可能な限り多様なアイデンティティのあり方を証明しうるデータを収集する。研究会実施および論文執筆を通し分析の精査に努め、本研究課題である「ビルマ系日本人」誕生の可能性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
業務の都合によりヤンゴン調査の日程を省略せざるを得なかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究会の実施および日本国内での調査に使用する。
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