2015 Fiscal Year Research-status Report
初期放射線科学と女性-マリー・キュリーの後継者たち
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15K01914
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
川島 慶子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20262941)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジェンダー / 科学 / マリー・キュリー / 女性科学者 / ロールモデル / シスターフッド |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、初年度なので、マリー・キュリーの女弟子のおおざっぱなデータベースを作成した。また、これについては、リケジョのロールモデルとしても非常に興味のもたれているテーマであることから、化学雑誌などに啓蒙のための論文を書くことを頼まれ、2本発表した。女性ではないが、日本人弟子として最初にキュリーに師事し、多くの女性の同僚に囲まれて研究した最初の日本人科学者山田延男を紹介するホームページを世界で初めて英語で作成した。これは各界から好評を得ている。 講演としては、東海地区の高校の化学教員の会から、名古屋大学での講演を頼まれ、キュリーとポロニウム発見の過程について解説した。日本学術会議からは、女性科学者をいかにして増やすかという問題に焦点を当てて、キュリーがポーランドで受けた女子へのの科学教育という主題を特に掘り下げて講演した。 論文としては、先の高校化学教員の会で発表し内容を、より学問的にまとめ、学会誌『化学史研究』に発表した。また、昨年の国際学会でのキュリーの女弟子たちと山田延男のことについて、学会主催のネットの英文誌に発表した。 キュリーの孫弟子にあたる湯浅年子についても、パリのキュリー・アーカイヴで新しい発見をしたので、とりあえず資料の一覧表を作成した。次年度でこれを論文にまとめたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私はパリのキュリー・アーカイヴの学芸員と懇意であり、非常に資料を得やすい立場にある。そこで、なかなか長期の渡仏は難しいが、学芸員たちが可能な限りのデジタル資料を提供してくれるので、それをもとにおおざっぱなデータベースを作成することができたことが大きい。さらに、日本全体が、女性科学者のロールモデルの必要性を強調しているので、それにふさわしいこの研究テーマには社会の需要があるので、講演などに適宜呼ばれ、知識を提供するだけでなく、私もまたそこから新たな知見を得ているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度でおおざっぱに作ったデータベースを、さらに洗練させ、キュリーの女弟子についてさまざまな角度から比較検討できるようにする。山田延男と湯浅年子については、英文でのホームページのほか、日本語による論文も書き、彼らとキュリー研究室の伝統がン本の科学とどのように関係しているかを明らかにする。特に湯浅年子については、キュリー・アーカイヴで、日本では私しか読んでいない貴重な資料を発見したので、これについてお茶の水女子大学の湯浅年子公開資料も利用して論文を書き、発表する。また、日本放射線腫瘍学会第29回学術大会において、マリー・キュリーと放射線医療についての基調講演を依頼されているので、キュリーがこれを開始したときに一緒に働いた女性の弟子について特に詳しく調査し、キュリーともどもここで発表し、医療の分野においてもキュリーは女性にとってのロールモデルであったことを示すつもりである。できればこの講演も論文にまとめ、ここの学会誌あるいは別の学会誌において発表したい。
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Causes of Carryover |
次年度のシンポジウムの準備に使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のノーベル賞とキュリーに関するシンポジウムの発表準備に使用する予定。
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Research Products
(10 results)