2015 Fiscal Year Research-status Report
1920‐30年代の日本の女性詩人・ジェンダー・主知的客観性に関する文学研究
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15K01915
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
菊地 利奈 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00402701)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 女性詩 / ジェンダー / 翻訳 / 文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年7月にオーストラリア・メルボルンで開催された学会(Japanese Studies Association of Australia)にて研究発表「Women’s Modernist Poetry in 1930s Japan: Sagawa Chika and her Contemporaries」をおこない、同年9月にシドニー大学で開催された学会「Wounds, Scars, and Healing: Civil Society and Postwar Pacific Basin Reconciliation」にて、研究発表「Women's Voices: Poems on Women by Women during War-time and Post-war Japan」をおこなった。 同年11月に早稲田大学で開催された日本近代文学会2015年度国際研究集会では、詩人の新井高子氏、歌人の川野里子氏、キャロル・ヘイズオーストラリア大学教授、エリス俊子東京大学大学院教授と、パネル「思想・社会・政治からよむ日本近現代女性詩歌」をたちあげ、「戦争と女性―女性が書いた<戦争詩>」のタイトルで研究発表をおこなった。 長期休暇を利用してオーストラリア国立大学に滞在し、研究共同者のヘイズ氏と、英語によるテキスト分析の基盤をつくるための女性詩人作品の英訳を続行した。共訳した新井高子の作品を詩誌『Transference』(西ミシガン大学)にを投稿、平田俊子の英訳詩を『Poetry Kanto』(関東学院大学)に投稿、どちらも掲載された。また、石川逸子の詩を英訳し、滋賀大学ワーキングペーパーNo.248として発行した。 2015年4月には、ヘイズ氏と歌人・田中教子氏とともに、犬養万葉記念館(奈良県明日香村)にて、「日本詩歌に見る近現代女性像 翻訳と朗読の会」を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度の研究計画の大きな軸となっている研究作業、①女性詩作品の共同英訳、②詩作品の収集と分析、③ワークショップや朗読会の開催、④成果発表の実施のほとんどすべてが実施された。 研究成果発表の場を求めて国際学会へ応募し、研究発表はすべて採択され実際された。夏季及び春季長期休暇を利用したオーストラリア国立大学への研究滞在も計画通り実施され、共同研究者との英訳作業もほぼ予定通り実施できた。成果として、ワーキングペーパー3本を発行した。また、詩誌『Transference』及び『Poetry Kanto』に訳詩を投稿し、掲載された。 調査がすすむにつれ、20年代~30年代から40年代をも含む女性詩研究へと発展し、新たな研究成果も生まれてきている。上記Sydney大学における研究発表のほか、滋賀大学ワークショップにおける研究発表「女性はプロパガンダ詩を書かなかったか―太平洋戦争期に女性が書いた<戦争詩(愛国詩・国民詩)>をよむ」(2015年10月)にもつながった。 学会における研究発表が後期に重なったため、授業との兼ね合いもあり、計画に盛り込んでいた「第三回詩と翻訳ワークショップ」は次年度(2016年7月)に延期された。 詩作品が入手しやすい現代詩人作品に比べ、20年代~40年代の女性による詩作品については調査と翻訳の同時進行であり成果発表には時間を要しているが、研究計画はおおむね予定通り順調にすすめられているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年7月に、国内外から複数名の研究者を招き、延期された「第三回詩と翻訳ワークショップ」を開催し、近現代女性詩人・歌人の作品を中心に詩の英訳について考察する。同年同月、詩人の伊藤比呂美氏、平田俊子氏、新井高子氏、歌人の川野里子氏、田中教子氏、翻訳者のキャロル・ヘイズ氏、ジェフリー・アングルス氏(西ミシガン大学教授)を招き、「日英翻訳詩歌朗読講演会―女の詩声が降る」を開催する。 同年同月に開催されるThe 2nd East Asian Translation Studies Conferenceでは、「Translating James Joyce into Japanese: The Possibilities of Poetry Translation and Its Impact」の発表が決定している。 2016年度前期には、上記の開催準備、学会発表原稿執筆、英訳の続行、及び、ワーキングペーパー執筆にあてる。同年8月から年度末までオーストラリア国立大学に滞在し、キャロル・ヘイズ教授との共訳をすすめる。同時に、2017年9月にオーストラリア国立大学で開催予定のPoetry and Translation Workshop(仮)の準備をすすめる。
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Remarks |
所属大学の研究者詳細ページ
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