2017 Fiscal Year Research-status Report
韓国における結婚移住女性の政治的主体化ートランスナショナルな組織活動を中心に
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15K01922
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
徐 阿貴 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (90447566)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結婚移住 / 移民女性 / 韓国 / 多文化政策 / 移民組織 / 女性運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、韓国における結婚移住女性の連帯形成および社会活動の活発化に関し、政治領域への参画に焦点をあて、多文化家族政策と女性運動との関わりから検討することを目的とする。2017年度の研究実績は以下のとおりである。 1.現地調査 ソウルおよび仁川市において移住女性の政治参画に関わる活動状況の調査を行った。既存の女性団体で教育を受けたり協働を経験した移住女性が独自組織を立ち上げ、行政や女性団体、移民組織との連携によりリーダーシップを発揮する例が顕著である。世界的なMe too運動は韓国でも大きなうねりとなったが、移住女性によるMe too運動が国会議員会館での記者会見や、都市の目抜き通りでのデモという形で行われたことは特筆すべき出来事であった。不安定な法的地位や家庭や職場でのマイノリティ的立場により、移住女性が公的な場で自身が被った性的虐待や暴力の経験を語ることは難しく、個人特定的でない形での告発や連帯の呼びかけにとどまった。とはいえ法務部が移住女性のための包括的な対策を緊急発表したことは具体的な成果といえよう。 2.成果の公表 国内学会および講演会での報告を通じ、移住女性の現状や政策に関する日本と韓国、EUの比較考察をする機会に恵まれた。アメリカ女性学会では環太平洋地域のマイノリティによるフェミニズム分科会で報告を行った。ソウル首都圏の結婚移住女性の組織形成と社会活動に関し投稿論文にまとめるなど、積極的に研究成果の発信に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度として、収集した資料や調査データの整理と学会や論文執筆による成果発表に力を入れた。しかし2017年度は韓国の政権交代による間接的な影響として、あらたな状況が生じた。まず韓国で3例目となる結婚移住女性である議員が慶尚南道蔚山市中区で誕生した。また2018年6月地方選挙に向け、移住女性の投票促進キャンペーンが展開されている。以上の重要な状況変化に照らし、研究期間を2018年度まで延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、結婚移住女性の議員活動、および6・18地方選への移住女性の関与を中心に調査を実施する。移住女性の政治的代表性、ホスト社会の女性運動との連携と政策形成過程への参画、移住女性組織の横のネットワーク形成を中心に分析を行う。本研究で得た知見を国内外に発信するため、世界社会科学フォーラムでの報告と投稿論文執筆を予定している。
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Causes of Carryover |
2017年度は最終年度となるところ、移住女性の政治参加に関するあらたな状況が生じ、現地調査を継続する必要が生じた。具体的には、結婚移住女性である基礎自治体議員の誕生、2018年地方選に関する移住女性の活動に関し調査を実施する。これらの調査結果を踏まえつつ、学会発表と論文執筆を行う。
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Research Products
(6 results)