2018 Fiscal Year Annual Research Report
Causes of maternity harassment and its effect on victims' career
Project/Area Number |
15K01931
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川口 章 同志社大学, 政策学部, 教授 (50257903)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 就業 / 妊娠 / 出産 / 差別 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には、英文の経済学専門誌に投稿した論文が受理、公表された。また、二度目のWeb調査を実施した。 論文では、マタニティー・ハラスメントの被害に遭う確率を妊娠当時の就業形態別に計算した。その結果、正規労働者が22.8%であるのに対し、パートタイム労働者は12.0%、契約社員は18.9%、派遣社員は13.7%といずれも正規労働者より低く、非正規労働者全体では14.3%であることが明らかになった。論文はさらに、その理由を回帰分析の結果を利用して、量的に分析した。その結果、非正規労働者は、妊娠後自主的に退職することが多いことと、正規労働者が長時間労働を強いられる職場に勤務しており、そのような職場でマタハラが発生しやすいことが、大きな原因であることがわかった。また、職務範囲が明確な職場では、マタハラが起こりにくいことが判明した。これらのことから、長時間労働を期待され、自分がそれをしない場合には同僚にしわ寄せがいくような職場で働いている労働者が、マタハラの被害に遭いやすいことが判明した。 二度目のWeb調査は、主に、出産、育児、マタハラなどの経験が、その後のキャリア形成にどのような影響を及ぼすかを分析することを主な目的としている。そのため、妊娠前の就業状態、昇進意欲、出産後の育児休業の有無、長さ、現在の就業状態について詳しく尋ねている。詳細については現在分析中であるが、以下のことが明らかになった。まず、管理職に昇進している女性は、男性と比べて子供がいる割合が低いということである。30代から50代の部長のうち、子供がいるのは、女性の40.2%、男性の73.8%である。同じく課長のうち子供がいるのは、女性の38.4%、男性の66.4%である。また、女性正社員の場合、現在の職位とマタハラ経験の有無にはほとんど相関関係がないことが明らかになった。
|