2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01943
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 竜弥 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90254127)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 産業観光 / 複合観光 / 国際研究者交流 / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、①ドイツ・ルール地域の観光振興策の総括と②フランス共和国ブルゴーニュ地方の現地調査を行った。 ①では、前年度から進めてきたドイツ・デュースブルク市とオーバーハウゼン市の観光振興策の比較研究を総括し、論文にまとめた。両市は同じルール地域にありながら、1999年以降入込客数の伸び率で大きく明暗を分けている。後者にあって前者に希薄なのは、複合観光の視点である。オーバーハウゼンでは、ルール観光の目玉である産業遺産観光に他の観光資源を有機的に結びつけることによって複合型の観光が提供されている。それは二重の意味での差別化戦略といえる。すなわち、産業遺産観光を推進することによって世界的に注目を集めるルールの拠点都市としての性格をアピールし、ノイエ・ミッテの再開発によって他のルールの諸都市との差別化を図っているのである。これが同じルールの中でも特にオーバーハウゼンが大きな成功を収めた理由と考えられる。翻ってわが国の状況を見ると、産業遺産観光はまだまだ単体で考えられていることが多い。今後わが国で産業遺産観光を持続的に発展させていくには、産業遺産の多角的な活用とそれを核とした観光の複合化の視点が不可欠である。オーバーハウゼンの事例はそのよき手がかりとなる。 ②では、前年度のボルドーに続き、フランスのワインツーリズムについて調査を行った。2015年以来、フランスでは官民一体となってワインツーリズムの強化に向けた施策が進められている。今年度は、同年にシャンパーニュとともにユネスコ世界文化遺産に登録されたブルゴーニュを調査地とした。調査の結果、ボルドーが必ずしもワインだけに留まらない複合型の観光を目指しているのに対して、ブルゴーニュはワインツーリズムを前面に押し出した観光振興策を模索していることなどが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度はドイツ・ルール地域の観光振興策についての研究を総括することができた。またフランスのワインツーリズムについての調査も予定通り進めており、新たな知見が得られつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査結果を分析し、それと比較対照の可能な新たな調査地を選定、現地調査を行う。またその研究成果を論文として取りまとめる。
|
Causes of Carryover |
助成額が請求額より削減されたため、調査計画を一部変更した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の未使用分を次年度の研究費と合算し、できるだけ当初の計画に沿った規模の海外調査を実施する。
|
Research Products
(2 results)