2015 Fiscal Year Research-status Report
観光の発展に伴う都市空間形成の変化と生活者による空間への関与に関する研究
Project/Area Number |
15K01945
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
堀田 祐三子 和歌山大学, 観光学部, 教授 (40346250)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | レクリエーション / レジャー / 地域生活空間 / 労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、住生活とレジャー・レクリエーション活動の歴史的展開の把握を目的とした。まずは、西山夘三の著作を中心に、地域生活空間におけるレジャー・レク活動およびその空間の捉え方を整理した。 西山はレクリエーションを「労働力再生産活動」「社会の創造的発展をおしすすめる人間の能力を培う生活の一部」ととらえつつ、地域生活空間とのかかわりにおいては、第1に資本主義社会の下でのレジャー/レクリエーションが労働に拘束された身を解放するための享楽的行為となりがちであり、こうした需要に呼応したサービスとその受け皿としての諸施設が都市の中に埋め込まれていくこと、第2に、生活水準の向上がレクリエーション生活のマス化を必然的なものとし、将来的にはレクレーションが都市・地方・国土の空間形成上重要なファクターとなること、第3に、労働の高度化に伴いレクリエーションの質的変化(高度化)が不可避となり、新たな空間形成(変容)-具体的には自然・文化資源や第一次産業のレクリエーションとしての捉え直し-が生じることを指摘している。 西山は「楽しみやレクリエーション活動が生活空間の秩序の重要な動機となると確信していた」(中林2007)。生活の論理を空間形成の基本に置くことを主張する議論は多いが、そこにレジャー・レクリエーションという概念を積極的に位置づけて展開する議論は限定的である。レクリエーションが生活空間形成の秩序を規定する可能性への期待や展望は、その後観光開発やリゾート開発等、レクリエーションのマス化が地域空間を破壊する形で進行するなかで語られなくなったが、近年居住地選択や住空間のつくられ方に「楽しみ」を軸とする傾向が散見されるようになっている。こうした視点の再評価と新しい動向の検証が必要である。
中林浩(2007)地域生活空間計画論と景観計画論、「西山夘三の住宅・都市論」住田昌二他、日本経済評論社所収
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定よりも文献サーベイに時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度残された課題の消化と、2016年度計画として掲げている、都市空間のなかに観光空間が形成されてくるプロセスとその空間特性についての文献サーベイを実施する。
|