2015 Fiscal Year Research-status Report
道の駅を活用した観光振興と防災インフラに関する研究
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15K01959
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Research Institution | Nara Prefectual University |
Principal Investigator |
麻生 憲一 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (90248633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 康英 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (10275349)
井出 明 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (80341585)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 道の駅 / 防災拠点 / 観光振興 / 土産 / 特産物 / 内定的効果 / 外生的効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究目的は①事前研究、②現地調査、③事後研究の3つの柱から成り立っている。まず①事前研究として、「道の駅」の実態を把握するために、「道の駅」所在地の農業統計資料、観光入込数等の統計データを収集し整理している。これらの資料は「道の駅」設置が地域の農業生産や観光入込客に与える効果を統計的に検証するために必要とされる。同時に、「道の駅」に関連する文献資料を学術ネットから入手し、「道の駅」の各地域における実態を把握に努めた。➁現地調査では、北海道、青森を中心に現地視察を行った。まず北海道は「道の駅」がもっとも集積する地域であるが、道北、道東、道央を中心に20か所の「道の駅」を2回に分けて視察し、「道の駅」駅長や観光協会などの方々から「道の駅」の利用状況や課題についてヒアリングを行った。また、その他、青森県の13か所、滋賀県9か所、新潟県6か所、和歌山県6か所、奈良県2か所の「道の駅」をそれぞれ視察した。特に、新潟県、和歌山県では、震災や豪雨被害後の復興状況を視察し、防災拠点としての施設整備(非常用水、非常用トイレ、非常用電源等)の現状を確認した。「道の駅」の視察箇所については、本年度の計画では、北海道と新潟県を主な目的地としていたが、予定を上回る視察を行うことができた。➂事後研究については、研究会報告・学会報告を中心に進めてきた。日本交通学会では、分担者と共同で、「「道の駅」設置に関する実証分析―内生的効果と外生的効果―」と題して報告を行った。現在、データを更新して論文を執筆中である。また、他の分担者はダークツーリズムの観点から研究実績を上げている。平成27年度は研究開始1年目であり、学会報告・研究会報告等は少ないが、次年度以降視察やデータ解析の結果を学会報告や論文などに纏めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目的は、「道の駅」設置数の多い北海道と防災機能をもつ新潟県を中心に調査を行うことであった。今回、北海道20か所(わっかない、さる公園、流氷街道網走他)、新潟県6か所(あらい、雪のふるさとやすづか他)を視察し、「道の駅」担当者から聞き取り調査を実施し、関連資料などを収集することができた。また、防災拠点としての課題などもヒアリングを通じて把握することができた。同時に、防災施設を実際に目視し、施設整備の現状を確認した。その他、視察地域として、青森、滋賀、和歌山、奈良など30か所の「道の駅」を視察することができた。その意味で、初年度の研究目的の大半は達成できたものと考える。ただし、当初計画にあった岐阜県や宮城県については視察調査が実施できていないが、本年度実施を予定している。なお、今回の研究成果については、データが整備でき次第、順次、研究会、学会などで報告を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、研究実施計画通り現地調査地域を岩手、福島、宮城県、岐阜県、近畿地方に広げる予定である。すでに岩手県の「たろう」、宮城県大崎市の「三本木」、気仙沼市の「大谷海岸」については、すでに4年前にも視察を実施しており、被災地域の復興の現状を把握する予定である。今年度も初年度と同様、事前研究、現地調査、事後研究に沿って進めていく。現地調査地の資料収集、駅長との連絡体制の組織化、研究グループの役割分担の追加など新たな事前研究が必要とされる。平成27年度のヒアリング調査では、定量的なデータの収集が困難であったので、調査フォーマットを作成し、聞き取り対象者に事前に配布し記入回収などの方法を検討したい。本年度、新たに現地調査を行う岩手、宮城については、行政担当者、観光協会等との連絡体制がすでに出来上がっているが、今後とも連絡体制をより強固なものにしておかなければならない。本年度も現地調査として、「道の駅」設置者の協力の下、聞き取り調査を実施する。事後研究では、これまで得られたデータの整備と定量・定性データの仕分け、地域特性を明示できるものにしておく。データが整備された段階で研究メンバーと仮説設定、検定作業を行い、得られた成果を学会等で報告する。
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Causes of Carryover |
代表者(分担者1名含む)の所属大学では、地(知)の拠点整備事業に採択されており、地域調査に対して研究補助金が支給されたため、そちらの予算執行を優先した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、8月~9月に東北、近畿、四国などの「道の駅」調査を予定しており、10月以降も防災拠点としての先進地を視察する予定である。また、代表者と分担者の打ち合わせ会議、研究会開催、学会報告等も実施していく予定であり、旅費を中心に直接経費を支出していく。
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