2017 Fiscal Year Research-status Report
道の駅を活用した観光振興と防災インフラに関する研究
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15K01959
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
麻生 憲一 立教大学, 観光学部, 教授 (90248633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 康英 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (10275349)
井出 明 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (80341585)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熊本地震 / 中越地震 / 全国モデル「道の駅」 / 特定テーマ型モデル「道の駅」 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「道の駅」の防災インフラとしての現状や課題を精査し、「道の駅」設置と地域振興策との整合性を検証することである。その意味で、平成29年度もこれまでと同様に、研究計画として事前研究、現地調査、事後研究に沿って研究調査を行ってきた。まず、平成29年度の事前研究として、現地調査地の「道の駅」の資料収集し、担当者との連絡体制を強化してきた。特に、千葉県の「道の駅」(とみうら)や熊本県の「道の駅」(阿蘇)では、施設代表者との数度の面会を通じて貴重な成果を上げることができた。平成29年度の現地調査では、東北(福島)、関東(埼玉、千葉、栃木、東京、茨城、群馬)、中部(新潟、長野)、近畿(京都、大阪、兵庫、奈良)、中国(山口)、九州(長崎、佐賀、大分、熊本、宮崎、鹿児島)の20都府県を視察した。そのうち、新たに12箇所の地域の「道の駅」を調査した。新潟県内では、中越地震で被災した関連施設を視察すると同時に、最も大きな被害を被った川口町と小千谷市の「道の駅」(越後川口、ちぢみの里おぢや)に出向き当時の被災状況の記録を閲覧した。また、公益社団法人の中越防災安全推進機構において震災復興に向けて「道の駅」の果たした役割などを取材した。 全国モデル「道の駅」として登録されている6駅のうち、新たに栃木県の「もてぎ」、群馬県の「川場田園プラザ」、山口県の「萩しーまーと」を視察し、そのうち2駅については直接に取材を行い、防災拠点としての現状などを確認した。最後に事後研究では、視察や取材によって得られた知見を整理し、招待講演会や研究会において報告した。研究スケジュールとしては、4月から6月に事前研究を行い、6月から翌年3月まで現地調査を実施し、併せて同期間中に事後研究も行った。今回、現地調査を行った「道の駅」は延べ数で89駅であり、一昨年と昨年度と合わせて282箇所の「道の駅」を視察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、北海道、東北地方の「道の駅」を中心に現地調査を行い地域の現状を把握した。2年目は、当初の予定を変更して、熊本地震で被災した地域の「道の駅」を中心に視察し、防災拠点としての現状や課題を明示することができた。3年目の平成29年度は中越地震で被災した川口町や小千谷市を中心に視察を進め、被災当時の担当者に取材を行った。 平成29年度は地方創生の観点から全国モデル「道の駅」に認定されている「もてぎ」「萩しーまーと」「川場田園プラザ」の3箇所の「道の駅」を視察し、「もてぎ」と「萩しーまーと」については、施設担当者からそれぞれの「道の駅」の現状や課題などを聞き取り、そこで得られた知見を講演会や研究会で報告することができた。平成29年度は、学会・研究会等の報告は、分担者を含めて、学会報告5件、研究会報告3件、招待講演3件、国際会議参加1件である。著作物と論文等の成果については、著作物2本、論文その他4本に上る。なお、平成30年度は「道の駅」に関する著作物を出版する予定である。以上において、3年目の研究目的の大半は達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成29年度が最終年度ではあったが、1年間期間を延長した。その理由は、東北地方の「道の駅」の防災インフラとしての現状を把握できておらず、これらの地域を視察し、防災拠点としての役割をより精査するためである。なお、これまでの3年間の研究期間において、東北地方や熊本県内、新潟県内などの被災地域の「道の駅」を始め全国で282箇所の「道の駅」を視察してきた。同時に、視察で得られた知見を講演会、学会などで報告してきた。 今後の研究の推進方策として、防災拠点や防災インフラとしてこれまで取材ができてこなかった被災地域の復興の現状を「道の駅」を通じて把握していく予定である。特に、昨年度取材ができなかった岩手県気仙沼市の道の駅などの復興状況について聞き取りを行う予定である。本年度は延長1年の最終年度であり、これまで現地調査を実施してきた全国の「道の駅」について、防災拠点としての現況とその役割を精査すると同時に地方創生の拠点としての役割を全国モデル「道の駅」に焦点をあてて考察を行う。そのうえで、それらを総括し、学会や研究会で報告していく。なお、これらの成果を纏めて「道の駅」に関する著作物の出版する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、震災被災地の「道の駅」を中心に地域創生の下で地域振興を図っている全国の「道の駅」について視察や取材を行い、その現状や課題について検討してきた。 本研究の特徴として、直接経費の大半は旅費や宿泊費に割り当てられている。今回、次年度使用額が生じた理由としては、当初予定していた東北地方などの震災被災地への視察が十分に実施できていなかったことである。今年度の使用計画としては、研究期間の最終年度であるため分担者との打ち合わせ、並びにこれまで取材が実施できていなかった岩手県内の「道の駅」への旅費に支出していく予定である。 予定使用額:被災地域への旅費15万円、分担者との打ち合わせ15万円、物品費等7万円
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Research Products
(16 results)