2015 Fiscal Year Research-status Report
タイにおけるコミュニティ・ベース・ツーリズムの経済人類学的研究
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15K01962
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
須永 和博 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (70550002)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タイ / コミュニティ・ベース・ツーリズム / 観光人類学 / 観光社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フィールドワーク的手法を用いてタイのコミュニティ・ベース・ツーリズムの現状を考察することを目的としている。そこで初年度はまず、夏季休業期間中に主たる調査対象地域として検討しているタイ南部のパンガー県ヤオノイ島、およびタイ北部のチェンマイ県チョムトン郡の山地少数民族のコミュニティを訪れ、それぞれ数日間の予備的調査を実施した。さらに、両地域においてコミュニティ・ベース・ツーリズム運営の支援活動を行っているNGO関係者などにインタビューを行い、当該地域の概要について情報収集を行った。 これらの予備的調査を踏まえたうえで、2016年2月にパンガー県ヤオノイ島を再訪し、1週間程度の本調査を実施した。滞在中は、島民の家庭にホームステイをしながら、参与観察的手法を用いて、島の生業やコミュニティ・ベース・ツーリズムの運営のあり方について情報収集を行い、島民の生活をホーリスティックに理解することに努めた。さらには、近年島内で進行している外部資本による観光開発の動向についても情報収集を行い、島民と観光産業の関係性について考察を行った。 以上のように、今年度は2度のフィールドワークを実施したが、こうしたフィールドワークと並行して、経済人類学やコミュニティ・ベース・ツーリズムに関連する文献研究も進め、フィールドで得られたデータを考察するための理論的枠組みを模索するなどの作業も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に提出した予定の通り、初年度はタイ南部の漁村およびタイ北部の山村という2つの地域において予備的調査を実施し、さらにタイ南部については1週間程度の集約的調査を行うことができた。そのため、タイ南部の事例については必要なデータの多くを収集することができ、次年度はタイ北部の本調査に取り組める見込みである。 以上の通り、本研究では概ね予定通りに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である2016年度は、前年度の予備的調査を踏まえたうえで、タイ北部の山地少数民族コミュニティにおいて1週間程度の参与観察的調査を実施する予定である。さらに、タイ南部においても若干の補足的調査を実施する予定でいる。 また、前年度に必ずしも十分に消化できたとはいえない経済人類学関連の文献渉猟にも力を入れ、フィールドデータの理論的分析を行うための準備作業を行う。その上で、学会発表や論文作成を行い、研究成果の公開に努める。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたノートPCなどの備品を、当該研究費で支出する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の繰越金については、2016年度請求分の予算と合わせて、本研究に関連する文献資料の追加購入やフィールドワークのための旅費などとして使用する予定である。
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