2016 Fiscal Year Research-status Report
代替性のない魅力が生み出すファンツーリズムに関する研究
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15K01963
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| Research Institution | Tokyo Seitoku University |
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Principal Investigator |
臺 純子 東京成徳大学, 人文学部, 教授(移行) (40440193)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 麻里子 流通経済大学, 社会学部, 准教授 (50435228)
崔 錦珍 九州国際大学, 現代ビジネス学部, 教授 (50551959)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | ファン行動レベル / 茶の間 / 購入 / 参戦 / 行動 / 社会適合性 / コミュニケーション / 外国人ファン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に実施した「嵐」ファンへの聞き取り調査と調査用フォーマット作成、および、その成果として設定した①「茶の間」②「購入者」③「参戦者」という「ファン行動レベル」に基づき、聞き取り調査を継続した。ファンによる紹介で、10人程度のファンに聞き取り調査を実施した。それらの結果をもとに、12月の日本観光研究学会で、「ファン行動レベル」モデル（幸田・臺・崔：2016）を発表した。さらに平成27年度には、ファンツーリズムの概念図を「ファン度」と「外出度」の2軸で想定していたが、「外的行動＆内的行動」と「社会適合性」の2軸で検討を進めている。
平成28年8月には、平成26年秋、「嵐」による大規模なコンサートが実施された宮城県利府町および関係企業での聞き取りを実施した。恒例のドームコンサートとは異なり、復興支援目的のコンサートだったこともあり、メディアでも大きく取り上げられたが、ファンと地域の間に発生したSNSなどを媒介したコミュニケーションの内容（臺・幸田・崔：2016）や、それによって受け入れ側のモチベーションがアップしたプラスのスパイラル効果（臺・幸田・崔：2017）などが明らかになった。
平成27年度末に、聞き取り調査を行った韓国人女性ファン（当時日本在住）の紹介で、ソウルにおいて、ファン友だちへの聞き取り調査を実施した。その結果、日本のファン同様、「ファン行動レベル」に沿って、ファン度が進展していたが、テレビ番組などで日常的に「嵐」に接する機会が少ない外国人ファンにとっては、「茶の間」の段階が短いか、ほとんどなく、「購入」から一気に「参戦者」へと進展すること、また「大学生（大人）になってもアイドルなんて」という社会的雰囲気から、ファンであることを表明したがらないといった特徴が明らかになっている（崔・幸田・臺：2017、発表予定）。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度当初の打ち合わせの結果、質問紙調査などの量的調査では、「茶の間」や「購入」レベルのファンも多数混じってしまうのではないか、という問題点が指摘された。そのため、居住地近くだけでなく、居住地から遠く離れたコンサートなどにも「参戦」するファンを選んで、聞き取りなどの質的調査を優先的に継続しようということになった。いろいろなルートで「嵐」ファンを探し、そのネットワークで、他のファン友だちを紹介してもらうという方法で調査を進めているため、日程調整なども含め、時間はかかるが、ファンによる観光行動としてのファンツーリズムの概念を提示するという研究目的に沿った研究内容になると考えている。
研究実績の概要に記載した通り、「ファン行動レベル」モデルは、聞き取り調査による成果であり、またファン行動とファンツーリズム（幸田・臺・崔：2016）を、「外的行動＆内的行動」と「社会適合性」の２軸で示したことによって、ファンツーリズムとは何か、という概念の枠組みを図示できたといえる。
ただ「嵐」ファンの発掘・聞き取り調査日程調整に時間がかかっているため、「イ・ビョンホン」ファンへの再調査などが進んでおらず、平成24年度～26年度の科研調査データを再分析するなどの対応が必要と考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、研究期間最終年であるため、ファンツーリズムの概念を提示するという研究目的に沿って、今までの調査内容を踏まえながら調査研究を進める。
研究テーマについての周囲の理解が進んできたためか、学会発表時などに、自分の家族や友人が「嵐」ファンであるという情報を提供していただけるようになった。こうしたルートを使って、ファンへの聞き取り調査を継続していく。ただ平成28年度末に、研究代表者の所属大学変更（千葉⇒広島）が発生したため、聞き取り調査出張の範囲や日程調整において、さらなる工夫が必要となった。鋭意、日程調整を行い、紹介していただいたファンを対象とした聞き取りを実施する。
文献研究に必要な資料なども、まだ収集・分析が不足しているので、継続的に収集・読み込みを行っていく。
研究成果発表については、大学紀要２本、日本観光研究学会２本の発表を計画している。また平成28年度に予定されていながら、延期となっていた東北亜細亜観光学会のウラジオストク大会に、すでに発表登録し、原稿も提出済であるが、授業日程などとの調整がつかなかったため、研究メンバーのうち、1名が参加することとなっている。
メンバーの大学に来た韓国人留学生に、嵐ファンがおり、韓国でのファンサイトの状況を聞くことができた。日本人ファンに対しては聞き取り調査を行っていく予定だが、韓国人ファンについては、こうしたファンサイトを通じた調査の可能性を検討し、実現できそうなら、それも実施したいと考えている。また研究代表者が、新しい大学で担当する日本人大学生の中にも、数名の嵐ファンがいることが分かった。時間的余裕はあっても、経済的余裕に課題があると考えられる学生の場合、今まで聞き取りを行ってきた社会人や主婦などのファンと比べて、ファン行動レベルや、消費行動にどの程度違いがあるか、なども比較することができそうな状況である。
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| Causes of Carryover |
東北亜細亜観光学会ウラジオストク大会での発表を予定していたが、ロシア政府の学会受け入れ時期の調整がつかず延期されてしまったため、旅費の使用予定が大きく変動してしまった。また嵐ファンへの聞き取り調査も、関東周辺のファンにとどまったため、やはり旅費部分で、予定より少ない額になった。また例年、地方開催が多い日本観光研究学会全国大会が、平成28年度は関東の大学での開催となったため、やはり旅費部分の見積もりが、予定より大幅に少なくなったことなどが、次年度使用額が生じた主な理由である。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に予定されていながら延期となっていた東北亜細亜観光学会ウラジオストク大会は、平成29年5月18日・19日に開催されることになったが、メンバーの日程の都合がつかず、九州国際大学の崔錦珍先生のみが、発表のため参加することになった。
日本観光研究学会全国大会は、平成29年度は金沢で開催されること、メンバーが博多、広島、千葉からの参加となるため、それなりの旅費がかかると考えられる。
学会発表時などに必要なノートパソコンおよび付随機器を購入しなければならなくなったため、物品費から支出する。さらに研究に関連すると考えられる海外文献も数多く出版されてきているほか、聞き取り調査時の確認のため、映像資料（DVD）などを購入する必要があり、これらを物品費から支出する予定である。
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