2016 Fiscal Year Research-status Report
文化資源の集散地の形成・発展メカニズムに関する研究:ジャパンエキスポを事例として
Project/Area Number |
15K01964
|
Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
川又 啓子 亜細亜大学, 経営学部, 教授 (00306854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 健一郎 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (00366840)
田嶋 規雄 拓殖大学, 商学部, 教授 (20328008)
三浦 俊彦 中央大学, 商学部, 教授 (60190592)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ツーリズム / クールジャパン / コンテンツ / マーケティング / 消費者行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の研究結果から、ジャパン・エキスポ以外のイベントとの比較研究を通して、多くの知見が得られることが示唆されたので、2016年度はコミケット(東京)視察、ワールド・コスプレサミット(名古屋)視察ならびに代表へのインタビュー、米国ロサンジェルスにおいて、JETRO訪問、アニメエキスポの主催者へのインタビューならびに会場視察を行った。これらと平行して、日本在住の中国人コスプレイヤー、アニメエキスポのボランティアスタッフ、コミケットへの出展経験者へのインタビューも実施した。 ジャパンエキスポ、アニメエキスポに共通する点は、ファンが主体的に立ち上げ商業主義とは一線を画したイベント(消費者が主導する市場/集散地)として始まったことである。徐々に規模が拡大し発展するにつれて、主催者間のコンフリクトによる変化、参加者イベントに見いだす意味づけの変化による、参加者の離脱や新たな参入などを繰り返す。すなわち、コアなアニメファンやマンガファンばかりではなく、周辺需要(ライトなファン)を取り込みながら規模を拡大して行くのである。 ジャパンエキスポは日本のポップカルチャーの総合イベントとして、また、アニメエキスポはアニメやマンガに特化したイベントとして今日に至り、両イベントとも年間25万人程度の来場者を見込むが、2016年には変化の兆しがあらわれる。ジャパンエキスポはテロの影響等もあり来場者は前年割れの23万4,852人となるが、アニメエキスポは史上最高の延べ30万4,799人を記録する。最終年度となる2017年度にどのような展開になるのか、解明していく予定である。 平成28年度は複数回の学会報告に加えて、「日独仏の論客が語るクールジャパンの実際:マンガ、アニメ、コスプレはどのようにヨーロッパに浸透したのか」を開催したが、クールジャパンを介したネットワーク構築の端緒となる成果だった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年の視察や年央のシンポジウム、複数回の学会報告でクールジャパンを介したネットワークが広がり、インタビューや視察が順調に行えたため。 <オンライン記事>日経広告研究所 広研レポートオンライン「広がるクール・ジャパン、マーケティング上の課題も ――日本消費者行動研究学会主催のコンファレンスから」<報告3> 「文化資源の集散地」として形成・発展するジャパン・エキスポ―― <活動内容>研究会(4回開催)において、ジャパンエキスポ、アニメエキスポの生成・発展のモデル構築に向けての議論をおこなった。平行して、海外現地調査や国内シンポジウム、講演会等への参加を通して、情報収集につとめた。 <実地調査>「海外映像制作業界の最新トレンド」聴講(東京、5月11日)、「アニメ『ブブキ・ブランキ』メイキング」聴講(東京、5月22日)、JETRO訪問、アニメエキスポ主催者インタビューならびに会場視察と出展者へのインタビュー(米国ロサンジェルス、6月30日~7月3日)、ワールドコスプレ・サミット視察(名古屋、8月7日)、コミケット90視察ならびに出展経験者へのインタビュー(東京、8月13日)、中国人コスプレイヤーへのインタビュー(東京、9月15日)、「あにつく」聴講(東京、9月25日)、マンガ教室主催者へのインタビュー(東京、3月7日)、ワールドコスプレ・サミット主催者へのインタビュー(東京、3月16日)
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2017年度は、8月末に開催される「13th Conference of the European Sociological Association 2017」(https://www.conftool.pro/esa2017/)での学会報告が予定されているので、普及理論、消費者文化理論(CCT: Consumer Culture Theory)、消費者主導の市場形成理論等の研究成果に依拠しつつ、最終的な成果報告に向けてモデル構築を進めている。8月の学会でのフィードバックを踏まえて、最終的には海外学術雑誌に投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度には海外での学会報告が予定されているため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年8月31日~9月2日にアテネで開催される13th Conference of the European Sociological Association 2017 https://www.conftool.pro/esa2017/で研究報告(報告要旨採択済み)を行う予定である。
|
Research Products
(6 results)