観光地における地域ブランド構築のための戦略に関する研究

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K01968
• Research Institution: Rikkyo University
• Principal Investigator: 羽生 冬佳 立教大学, 観光学部, 教授 (40302971)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: 地域ブランド / 観光資源 / コンセプト

Outline of Annual Research Achievements

平成28年度は研究計画に基づき、１．国内の事例調査、２．来訪客の対象地のイメージ・評価に関する調査（既往研究分析）、３．観光地のブランド構築のための戦略の検討を実施した。
１．について、国内事例としては平成27年度の調査地である三重県鳥羽市との比較の観点から、島根県隠岐諸島、ならびに石川県能登地域を対象として調査を行った。いずれも海岸景観をはじめ豊かな自然環境を有し、前者は国立公園、後者は国定公園の指定を受けている。いずれの地域も諸島全体、半島全体を覆うような広域観光協会が組織されているが、対象エリアが広域にわたっていることから、パンフレット・HPでの広報PRの他には実効的な方策が行えているとは言い難い状況であった。実態としては、既に確立している地域の地名度の元で、それぞれの市町村単位での取り組みが行われている状況であり、今後新たにブランドイメージを構築するような動きは見いだせなかった。
２．については新規の調査を実施するのではなく、既往の調査について情報収集を行った。平成29年度に引き続き分析を進める。
３．については研究協力者と研究会を開催し、それぞれの事例から検討を進めている。課題として、各観光地のイメージ・認知、あるいは一体的に観光地として捉えられる地域の範囲が多様である中で、①既存のイメージを維持する、②新たにイメージを確立／認知度を高める、③既存のイメージを変換する、といった様々な戦略目標が実際上は考えられる。それぞれについてどのように取り組みを進めていくか、といったことについて細かく検討していくことが必要と考えられる。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

事例調査等についてはほぼ研究計画書通りに進んでいるが、調査結果から得られる結果が当初想定された成果とは異なっており、明確に戦略を検討する段階に至っていない。また、当初予定していた海外調査も、日程が調整できず実施できなかった。現在は文献・資料により調査を進めている。

Strategy for Future Research Activity

国内での地域ブランド構築の取り組みを収集（主に文献調査による）、モデルにあてはめるなどで、引き続き地域ブランド構築の理論的モデルの精緻化を進める。また、平成28年度に実施できなかった海外事例調査を実施予定である。これまで国内事例において、ある程度地理的まとまりのある地域を対象としていることから、島嶼部や半島といった地理的まとまりが認められる観光地を想定している。また、これまでの結果をとりまとめ、観光地のブランド構築のための戦略の検討を行う。

Causes of Carryover

予定していた海外事例調査が実施できなかったことによる。また、主に専門知識提供に対する謝金や、資料整理作業の補助に支払いを予定していた人件費が未執行となった。合わせて、設備備品（海外観光関連図書）についても、海外事例調査が実施できなかったこと、ならびに他経費からの支出である程度まかなえたこともあり、予定金額に達しなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度に実施できなかった海外事例調査を実施する。また、資料整理やデータ分析等の補助作業を依頼するとともに、専門知識の提供に対する謝金等を支出することにより、より有用な成果をとりまとめていく予定である。