2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K01969
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
周藤 真也 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (60323242)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 産業遺産 / 旧鉱山 / 遺産化 / 観光資源 / 観光のまなざし / 博物館 / 世界遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究第3年度であり、さらなる国際的な比較事例研究と、国内においてメインの研究フィールドとしている栃木県の旧足尾銅山地域に関する調査研究を精力的に行った。 比較事例研究としては、7月には北欧・ノルウェーにおける鉱山遺構の現状と観光資源化などの地域での取り組みについて現地調査を行った。ノルウェーの南西部地域は、かつて銅山を中心とした鉱山が点在しており、それらの遺構が残るが、フィヨルド地形に阻まれるために交通の便があまりよくなく、国際的にはあまり知られていない。本研究では、そうしたノルウェー南西部にある、Litlabo鉱山、Vigsnes鉱山、Knaben鉱山、Gursli鉱山、Blafjell鉱山、Iveland鉱山、Softestad鉱山、Blaafarvevaerket鉱山、Amdals Verk鉱山、Allmannajuvet鉱山、Volaheiane鉱山の11か所の鉱山跡について現地を視察した。これらの鉱山跡の多くでは残っている地上施設が見学できるよう整備されていたり、ハイキングコースなどとして地域の住民に親しまれていたり、2か所では観光施設として、他の2か所では博物館として、地域の歴史を保存したりしていた。また、Knaben鉱山では夏の僅かな時期に、遺構を見学するツアーが行われており、ツアーの様子を観察した。 また、国内においては、栃木県の旧足尾銅山地域における調査研究活動として、栃木県立文書館の寄託資料である新井常雄氏撮影写真もとに、地域住民に地域の歴史や記憶に関する聞き取り調査を行った。これらの写真は、昭和30~50年代に撮影されたものであり、地域の貴重な文化遺産であることから、観光資源として活用する可能性についても検討した。調査研究の成果の一部は、地元の施設での展示公開を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が当初計画よりも想定以上に進展していたことから、平成28年度には「前倒し支払請求」を行った。その結果、予定していたた現地調査の多くをすでに前年度に行っていたことから、本年度は比較的に時間的な余裕ができ、研究の取りまとめを視野にいれつつ、残りの現地調査を行うとともに、旧足尾銅山地域の調査研究を精力的に行うことができた。 当初計画よりも少し早く、研究の取りまとめに入ることができるような状態にあり、研究はおおむね順調に進展している。これらのことから、当初の目標以上の研究成果を挙げることも期待できる状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までで、比較研究は概ね終了し、研究成果のとりまとめに必要となる補充調査を行いつつ、研究成果のとりまとめを中心に研究活動を行っていく。平成28年度に行った「前倒し支払請求」の結果、平成30年度は当初の予算額からは減額となったが、当初計画における研究のとりまとめと研究成果の発表には十分な金額を残しており、積極的に研究成果の発表を行うなど、充実した研究のとりまとめを行っていきたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 助成金の執行の際に生じた少額の残額を次年度使用額として残した。 (使用計画) 次年度使用額は僅かであり、物品費として次年度の助成金と合わせて使用する。
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