2017 Fiscal Year Annual Research Report
Contingency in Kant's Practical Philosophy
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15K01982
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| Research Institution | Yamagata University |
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Principal Investigator |
松本 大理 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (20634231)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | カント / 実践哲学 / 偶然性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究はカントの実践哲学において論じられている人格の尊厳や自由の概念を、「偶然性」の様相に着目することによって考察し直すことを目的としている。それにあたって、九鬼周造が『偶然性の問題』において展開した概念分析と洞察を手引きとして利用する。こうした意図のもと、最終年度である平成29年度は、次のように研究を進めた。
平成28年度中に考察した九鬼の「原始偶然」概念を、カントの実践哲学における自由概念と関係づけることにより、九鬼に特徴的な個物の問題とカントに特徴的な意志の問題を相互に補完しながら考察した。九鬼の考察は大筋としてはカントの宇宙論的理念としての自由概念の考察に相当するが、しかし同時に個々人の現存の自由を基礎づけており、より特徴的には、個人の固有性や唯一性の基礎を与えている。この議論を利用することで、カントにおいて強調されがちであった理性的存在者の普遍性に対して、その固有性や唯一性の契機を読み込むことが可能となった。
その考察の成果の一部は、平成29年度の日本カント協会大会において、「カント倫理学と討議倫理学――格率の主観的吟味と相互主観的吟味」という題目のもとで、カント解釈の一つとして提示した。当該発表では、カントの普遍的で理性的な行為主体から、偶然的で固有な、唯一の当事者としての次元を取り出すとともに、他の理性的存在者についても偶然的で固有な当事者としての側面を、すなわち代替不可能な個人としての側面を指摘することを試みた。発表内容は、平成30年度中に発刊予定の学会誌に掲載される見込みである。なお、九鬼の偶然性に関する考察については、山形大学OB&OGセミナー（平成29年度）（2018年3月3日開催）の場で研究成果の一部として言及する機会を得た。
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Research Products
(2 results)
