2015 Fiscal Year Research-status Report
隣接分野との比較照合を通したメタ形而上学的構図の再編成
Project/Area Number |
15K01989
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
井頭 昌彦 一橋大学, 社会学研究科, 准教授 (70533321)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | カルナップ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、メタ形而上学、特にメタ存在論に関するサーベイを行い、メタ存在論的実在論とメタ存在論的デフレ主義の中心的対立点の一つが存在論的主張の客観的評価可能性--主観的要因に依存して妥当性や真理値が変化しないこと--を認めるか否かという点にあることを明らかにした。また、現在の論争における主要なアプローチの一つとしてメタ存在論におけるカルナップ的アプローチを取り上げ、自然主義との親和性を確認することを通してその現代的意義を再確認しつつ、その元にメタ存在論的実在論とメタ存在論的デフレ主義を位置づけ、それぞれを支持するためにはどのような論証を組まねばならないかを明らかにした。その結果、挙証責任が課せられる実在論側に説得的な支持論証が現時点でないことを根拠とした暫定的結論としてメタ存在論的デフレ主義が支持されうることを明らかにした。この研究成果は、すでに論文化を終えており、The Monist誌におけるCarnap's Metaphilosophy特集号への投稿準備を進めている。 また、これと並行して、科学的実在論論争と形而上学的実在論論争との関係性についての研究も前倒しで進め、科学的実在論の支持根拠を形而上学的実在論の支持根拠として援用できるとするexplanationismの妥当性を検討した。その結果、すでに多くの先行研究が(様々な角度から)指摘しているように、explanationistの援用論証には多くの欠陥があることを確認した上で、この論点を先述のメタ存在論におけるカルナップ的アプローチの元に位置づけ直すことで、これらの研究成果を同じ文脈で議論可能な形に接続した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サーベイが順調に進んでおり、一定の成果を出すところまで行っていること、また、それと並行しつつ、平成28年度に行うべき作業にも前倒しで取り組みを始められていることが、「おおむね順調に進展している」と判断する理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請段階での計画通りに、今後は、メタ存在論に関するサーベイを基にして、科学哲学における実在論論争の諸立場との相互比較や対応付けを進めていく。
|
Causes of Carryover |
購入物品の金額がキリの良いものでないため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額なので次年度予算に組み込んだ上で計画通り使用する。
|