2017 Fiscal Year Annual Research Report
An analysis of joint action in terms of fictionalism and with regard to the emergence of obligation
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15K01993
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田村 均 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (40188438)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己犠牲 / 共同行為 / 虚構 / 演技 / 個人主義 / ロック / ヒューム / 戦争犯罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は最終年度であるため、本研究課題のこれまでの研究成果を書籍として刊行することを目標とし、書籍原稿の執筆を主として行なった。そして、平成29年(2017年)10月初旬には40万字を超える原稿を完成させた。その後、平成30年度(2018年度)の科学研究費助成事業・研究成果公開促進費の公募に応募し、平成30年4月に同費目の交付決定を受け、現在刊行準備中である。平成30年秋には、本研究課題の研究成果が、『自己犠牲とは何か ―哲学的考察―』との表題の下、名古屋大学出版会から刊行される予定である。 本書は、3部12章と序章、終章によって構成される。第1部は「権力と犠牲」と題し、権力の下での人間の共同行為の演技性を浮き彫りにする。第2部は「自己犠牲の論理」と題し、意に反することを進んで行なう、という矛盾をはらんだ自己犠牲の論理的構造を明らかにする。第3部は「自己と自己犠牲」と題し、西洋近代哲学における自己の形而上学と自己犠牲との概念的な両立可能性を分析する。以上のように、本書は、本研究課題のとおり、共同行為を虚構論的・演技論的に分析し、義務の発生に関する考察を行なったものとなる。 このほか、平成29年9月7日と8日の2日間にわたり、本研究課題にかかわる研究集会を開催した。この研究集会は、第11回ジョン・ロック研究会を兼ねて、名古屋大学において挙行されたものである。本研究集会においては7名の研究者を発表者として招請し、ジョン・ロックを共通の主題としつつ、17世紀の宗教思想、近代市民権の思想、イギリス啓蒙という思想運動、人格の形而上学、等の多様な方向から、義務の発生にかかわる活発な討議を行なった。なお、7名の研究者については、個人情報公開に関する承諾の手続きが未了のため、個人名の公開は見合わせざるを得ないことを付記する。
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