2017 Fiscal Year Annual Research Report
An Analysis of Husserl's Theory of Time-Consciousness and its Cognitive Linguistic Development
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15K01994
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮原 勇 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90182039)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時間 / 現象学 / 意識 / 非実在性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、まずフッサール著作集Husserliana Bd.Xの『内的時間意識の現象学』の草稿の分析と調査から始められたが、本研究代表者は、ドイツのFreiburg大学のHusserl Archivに訪問し、Husserliana Bd. Xの原稿に当たるフッサールの直筆草稿を調査し、Husserliana Bd.Xに収録されているすべての時間のDiagrammを撮影してきた。そこで発見したことは、Husserliana Bd.Xに収録されている時間のDiagrammのうち、最初のDiagrammがもともと失われていたということである。そして、Husserliana版ともともとEdith SteinとMartin Heideggerによって編纂されたJahrbuch版とでは記号のつけ方が異なっている第10節のDiagrammに関して新たな解釈を提示した。また、Husserlの時間論に至るヨーロッパ哲学での時間論の系譜をアリストテレスのPeri PhyseosアウグスチヌスのConfessionesでの時間論を構造を分析し、どのような形でHusserlの時間論のなかにその基本的洞察が入り込んでいるかを検討した。また、20世紀前半に活躍したイギリスのヘーゲル研究者John Ellis McTaggartの論文The Unreality of Timeとの時間論における時間概念の理論との比較を行った。McTaggartの論文は、観念論という存在論を前提とし、単に時間というものが経験的実在性という特性を持つものではなく、我々の意識への現出そのものとしてのPrasenzこそが「今」という時間性としての概念を保証するものであることを明らかにした。そして、特にMcTaggartの時間の議論は、アウグスチヌスのConfessionesでの三重のPraesentatioの理論に結びつくことを示した。
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