2016 Fiscal Year Research-status Report
田辺哲学の複眼的・動態的な方法論による総合的研究と国際連携体制による展開の試み
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15K01996
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉村 靖彦 京都大学, 文学研究科, 教授 (20303795)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 田辺元 / 種の論理 / 西田幾多郎 / 京都学派の哲学 / ハイデガー / レヴィナス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は、主として次の3点にわたって展開した。 1.田辺哲学研究の年代順の総覧作業の進行。1920年代前半の渡独前までの「初期習作時代」を主題とした前年度の研究に続き、本年度は1934年に始まる「種の論理」の開始期の状況までを扱った。具体的には、両者とも現象学とハイデガー哲学を身体論の方向へと独自に展開させたものであり、かつファシズムの台頭する1930年代前半の歴史的状況を踏まえたものであるという視点から、初期レヴィナスと田辺の種の論理の初発形態を交差させて考察した。その成果は、日本哲学と現象学をめぐる英文論集への寄稿論文となって結実した(近刊予定)。 2.自らの田辺哲学研究の俯瞰的な位置づけの提示と、それを通しての研究上の国際連携体制の拡大。前年度の二つの国際集会での講演に続き、今年度はフランスのブルゴーニュ哲学会の招きで京都学派の哲学を紹介する講演を行う機会を得、西田哲学との関係で田辺哲学の独自性を位置づけることを試みた。聴衆は主として西洋哲学の研究者たちであり、数々の有益な反応を得た。 3.田辺のテクストの仏訳。昨年度は「社会存在の論理」の仏訳作業を進めたが、海外の研究者との研究交流上の理由で、1920年代から30年代初頭の田辺のハイデガー論3篇の訳出を優先することにし、その内の1篇の訳出を終えてさらに継続中である。最終年度に残りの2編の訳出を終えて、海外の研究協力者の助力を得て出版の可能性を探るつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の基礎固めを踏まえて、二年目にすべき作業はおおむね順調に進めることができた。本研究の掲げる「複眼的・動態的な方法論」については、とくに田辺の種の論理をハイデガーや初期レヴィナスと交差させて解釈する作業において、実質的な展開を果たすことができた。田辺のテクストの仏訳については、対象テクストを途中で変えたこともあり、予定より少し遅れているが、想定の範囲内であり、取り戻し可能な遅れである。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、今年度までと同様のペースで進めていくつもりであるが、種の論理期の田辺については、同時代の状況との関係で資料調査を拡大する必要を感じており、場合によっては、当初の研究計画を若干修正し、この時期をめぐる研究の充実のために最終年度を費やすことも考えている。
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Research Products
(5 results)