2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K02002
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
稲岡 大志 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (40536116)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ライプニッツ / 数学の哲学 / 図形推論 / 空間論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は主に、ライプニッツ数学研究において図形がどのような機能を果たしているのかを解明する課題と、1695年以降に展開される空間論がどのようなものなのかをより詳細に解明する課題の二つに取り組んだ。前者に関しては、主にパリ時代の数学草稿を分析し、無限小解析においてライプニッツが図形をどう活用したのかを明らかにすることに努めた。その結果、ライプニッツがいかにして無限小三角形や無限多角形といった図形を有限図形を用いて表現したのか、また、幅を持たない線分を無限小の幅を持つ四角形と見なすというような図形の見方がどう証明にて用いられているか、といった点を明らかにし、そうした図形の使用法が、パスカルといった先行する数学者の結果を一般化して、無限小解析を確立することができた要因の一つであることを示すことができた。後者に関しては、ライプニッツが幾何学研究を再開する要因の一つとされるボーデンハウゼンとの往復書簡の検討を引き続き進め、さらに、最晩年のクラーク宛書簡での空間論の検討を行った。その結果、ライプニッツのいわゆる関係空間説は初期から一貫した内容を持つものではなく、時期を経て内容にも変遷が見られることを明らかにすることができた。また、2017年11月には幾何学研究を中心としたライプニッツ数理哲学に関する世界的研究者であるVincenzo De Risi博士(フランス国立科学研究センター)を招へいし、国際研究集会を三度開催し、また、ライプニッツ数理哲学に関する意見交換を行った。博士との意見交換により、ライプニッツの空間論や幾何学研究を、古代ギリシア以降の数理哲学史というより広い文脈に位置付ける見通しを得ることに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外研究者との意見交換をすることで、検討すべき一次資料や抑えるべき歴史的文脈などを特定することができた。今後はこれらを解決することで研究が進展するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1695年頃のライプニッツに起きた変化をより綿密に解明する作業を進める。具体的には、実体説と空間説の関わりを、一次資料の読解によって明らかにする。また、ライプニッツの幾何学研究をより広い歴史的文脈に位置付けるために、具体的な証明技法の検討を行なう。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、海外から研究者を招へいし、国際研究集会を複数回開催する計画だったので、図書や物品の購入を極力抑え、招へい費用を多めに確保しておいたが、招へい費用が当初の計画の予算以内に収まったため、次年度使用額が発生した。これらは研究図書の購入や学会出張などに使用する予定である。
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Remarks |
学会発表の資料などを掲載している。
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