2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K02009
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Research Institution | Aichi University of the Arts |
Principal Investigator |
中 敬夫 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (80254267)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 他者 / 神 / 非我 / 他性 / 場所 / 現象学 / フィヒテ / 西田哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終2019年度には、(1)「後期フィヒテにおける他性の問題に関する附論」と(2)「作るものと作らないもの――西田哲学における自然と歴史の問題構制をめぐって」という2論文を脱稿し、後者に関してはその縮約版を「Natura quae nec creat nec creatur――西田哲学における創造/非創造と歴史/自然の諸問題をめぐって」という表題のもと、『愛知県立芸術大学紀要』No.49に掲載した。(1)は後期フィヒテにおける<神の他性>と<他者の他性>に関して考察した前年度の論攷への附論として、フィヒテ晩年の『日記』や『国家論』を中心に再考したもの、(2)は西田がよく援用するエリウゲナの「創造されもせず創造しもしないもの」という根本思想に依拠して西田の「作られたものから作るものへ」という考えを逆に批判しつつ、西田における「創造」や「非創造」、「歴史」や「自然」等の考えを再検討したものである。 「他性と場所」という研究課題のもと2015‐19年度の5年間に行われた研究全体に関しては、2015年度には「二〇世紀の古典的他者論とその問題構制」、2016年度には「神の他性と他者の他性――デカルトの「無限」の観念とレヴィナスの他者論」と「他性の場所――レヴィナス倫理学と相互性の問題」を完成、これら3論文を併せて著書『他性と場所Ⅰ――《自然の現象学》第五編』を2017年に萌書房から公刊した。また2017年度には「初期フィヒテにおける他性の問題」と「中期フィヒテと神の他性の問題構制」、2918年度には「後期フィヒテにおける他性の問題」と「西田哲学における他者と場所との問題構制――論攷《場所》と《私と汝》を中心に」を完成し、以上4論文と2019年度に脱稿した2論文とを併せて、2020年度中に新著を公刊する予定である。 いずれも筆者独自の立場から為された研究で、その意義と独自性とを有する。
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Research Products
(2 results)