2016 Fiscal Year Research-status Report
現場に根ざした医療組織倫理の構築に向けた基礎的研究
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15K02011
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
土師 俊子 (服部俊子) 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (50609112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 隆展 琉球大学, 医学部附属病院, 特命教職員 (10600174)
樫本 直樹 産業医科大学, 医学部, 助教 (20622533)
大北 全俊 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70437325)
川村 尚也 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (80268515)
土屋 貴志 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (90264788)
堀江 剛 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50379898)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 病院倫理制度 / 病院内倫理委員会 / 医療組織倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、倫理的な医療組織はいかに創成できるのかという問題意識から、実際に倫理的問題を解決・予防するために医療機関において機能している倫理サポートシステムを問い直すことを目的にしている。本年度はまず、医療現場の倫理サポートシステムの実態を調査している病院倫理委員会の活動記録をデータ化した。分担研究者3名と代表者で記録をデータ化し、そのデータから、どのような活動が実際になされていたかを哲学的に分析するための検討を行った。さらに、当初から研究していた前記以外の調査として、臨床倫理の専門家(研究分担者)活動調査があり、本年度は、その活動のパイロット調査を行った。その調査からは、倫理支援者として病院に倫理専門家がいることと倫理(委員会)制度の機能の関係を組織という視点で見る調査が必要であることが示唆されたが、計画していたような本調査には至ることができなかった。2つの実態調査(一つはまだパイロット調査だけだが)からは、それぞれの病院「組織」が倫理サポートシステムに多大な影響を及ぼしており、医療組織の倫理サポートシステムを構築するには、病院の「その」組織を検討し、それに応じたサポートシステムを検討する必要があることと、そのシステムの質を検討するには、医療「組織」を記述することから始める必要があることも示唆された。このことは、本年度の倫理系学会で発表した。本年度は研究計画にあげていたように、組織の倫理に関係が深い経営学・コミュニケーション学研究者で組織倫理をテーマにしている人たちとともに医療組織倫理に関する研究会を開催し、病院管理を専門とする学会でその研究会メンバーで、倫理的にマインドフルな病院づくりとして、病院倫理制度の創造的破壊に向けた倫理学と経営学からの問題提起を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度から続くことだが、代表者の職場が人員不足のため研究実施困難な状況が継続しており(次年度まで継続しそうである)、代表者が総括をすることができなかったことが最大の理由で、当初の研究計画では、データ整理とデータ分析を今年度に行う予定だったがそれが行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の職場が研究実施困難な状況が昨年度から次年度まで継続するため、遅延した分を次年度で取り戻すことは難しいかもしれない。しかし、本年度、実態調査を行いデータ整理と分析方法の検討に着手し、また、専門分野の異なる研究者たちとも議論し学際的な検討を試みることができ、さらに、本年度に哲学対話を専門とする研究者に分担者として加わってもらうことができたことから、サポートシステム検討のキーワードとなりうる「対話」の観点からの分析も加えられ、その内容を研究者全員で学会で2つ発表することができた。それらの発表を通して研究分担者がそれぞれが研究を進めるための課題を共有することができたので、次年度は、研究計画を全員で促進していくことで、研究目的の達成につながると思われる。
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Causes of Carryover |
当初予定して計画が少し遅延しており、調査関係費用が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に使用する予定だった本調査費用の一部と研究会開催(回数を増加する分の)費用を、今年度の繰越分で使用する次年度費用に充てる。
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