2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Heidegger's Concept of Action to lay the Foundation for a Construction of Medical Philosophy
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15K02012
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| Research Institution | Nara Medical University |
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Principal Investigator |
池辺 寧 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00290437)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | ハイデガー / 気づかい / 身体性 / 自然災害 / 科学技術 / 死 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的はハイデガーによる存在の思索を行為論と解釈し、そのうえで、ハイデガー哲学に医学哲学を構築するための思想的な基盤を見出していくことである。平成29年度はハイデガーにおける気づかいと身体性を主題にして研究に取り組んだ。気づかいとは、現存在（人間）がいかに存在しているのかを特徴づけた、ハイデガーの術語である。身体がなければ現存在の生や行為はありえない。そのかぎりでは、身体が生や行為を可能にしている。ところが、ハイデガーはこのようには考えず、身体に対する気づかいの優位を主張する。彼が主張する気づかいの優位を論証するために、気分、自然、道具、人間の振る舞いと動物の行動の関係などの観点から研究に取り組み、ハイデガーの行為概念の解明に努めた。そのうえで、身体を気づかいとの関係から捉え直すことによって、医療における身体の問題を考察することを試みた。
29年度はさらに前年度からの研究を継続して、自然災害と人間の関係について哲学的・倫理学的に考察した。自然災害を主題とする研究は、本研究の課題からは少しずれる。しかし、病気や死、自然災害といった人間には制御しえないものと人間との関係、および、技術と人間との関係を問うという点においては通底している。高度に技術化した現代社会に求められる人間のあり方を考えようとする本研究課題と問題意識そのものは密接に重なっている。29年度に実施した自然災害を主題にした研究においては、まず科学技術は万能でないことを指摘し、自然の威力を畏怖し人間の無力さを自覚することの重要性を論じた。次に、われわれは誰しも受援者にも支援者にもなりうる存在であることを指摘し、人を助けることの必然性について論じた。さらに、突如として直面せざるをえない死について取り上げ、人間の生命の一回性・尊厳性について論じた。
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