2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on relationships between science and technology and Three teachings (Confucianism, Buddhism, and Taoism) focusing on imperial astronomers in ancient China
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15K02035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南澤 良彦 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (50304465)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 太史令 / 科学技術 / 仏教 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、隋唐時代の天文暦法、天文装置、太史令について研究を行った。1)天文暦法は、隋の劉シャク{火卓}(544-610)の『皇極暦』、唐の傅仁均(7世紀)の『戊寅暦』、李淳風(602-670)の『麟徳暦』、瞿曇悉達(7世紀後半-8世紀前半)の『九執暦』、一行(683-727)の『大衍暦』等を研究し、2)天文装置は、李淳風の三重渾儀、梁令サン{王贊}(693-?)の黄道游儀、水運渾儀等を研究し、3)太史令及びそれに準ずる人物は、傅仁均、李淳風、瞿曇悉達、一行等を研究した。唐代は国際色豊かな時代であり、儒教・仏教・道教の三つの思想・宗教が鼎立し、多様で多元的な文化が花開いた時代であった。太史令及びそれに準ずる人物は出自を問われず、その信仰も様々であった。例えば、傅仁均は道士、すなわち道教の僧侶であり、一行は仏教の僧侶、瞿曇悉達はインド系の出身である。ただし、一行は俗名張遂と言い、高級官僚の家系に生まれ、経史を博覧し、暦象・陰陽五行の学に詳しかった。逆に李淳風は博覧強記で、天文暦算・陰陽の学に長じていたが、その父李播は天文に通暁する道士であった。唐代では、儒仏道三教は対立と調和の両方の様相を呈する複雑な関係にあり、それらの影響下にある暦法・天文思想もまたインド伝来のものも含めて、極めて多元的であった。最終年度である本年度の研究は、過去2年間の研究を踏まえ、隋唐時代の研究を行い、科学技術の社会的意義を人間の精神生活に収斂し、天文暦法に代表される科学技術(者)と社会における人間の精神生活の最たる営為である宗教・哲学思想との問題を、漢から唐に至る太史令と儒仏道三教との関係を中心に解明した。
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