2015 Fiscal Year Research-status Report
コプト・ディアスポラのネットワーク形成と異文化適応に関する比較宗教学的調査研究
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15K02053
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩崎 真紀 筑波大学, 人文社会系, 助教 (10529845)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エジプト / カナダ / フランス / 宗教 / 民族 / コプト・キリスト教 / イスラーム / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
アラブ諸国は2011年のアラブ革命により政治社会が大幅な変化の途上にあり、革命にともなう欧米諸国への移民の増加については国際社会が注目している。エジプトはイスラーム世界の中心地のひとつとして知られているが、他方で中東最大のキリスト教共同体であるコプト・キリスト教徒(以下コプト)が人口の10-15%を占める。1950年以降、エジプトでは海外移住者が激増したが、なかでもコプトの移住率はムスリムのそれよりもはるかに高く、革命後さらに増加している。本研究は欧米に移住したコプト・キリスト教徒をコプト・ディアスポラとしてとらえ、カナダとフランスのコプト・ディアスポラ共同体、そして母国のエジプトのコプト共同体の調査を通じ、そのネットワーク形成と異文化適応の過程を解明することを目的とする。 2015年度は8月にカナダ・モントリオールのコプト・キリスト教会訪問、信徒家庭への滞在を通じて、参与観察を行った。その結果、オールドカマーとニューカマーの関係や世代間、異民族間の関係や、そうしたことに対する若者/ユースグループの取り組みを明らかにすることができた。 具体的には、聖書勉強会や社会福祉活動を通じた非エジプト系(イラク系、ポーランド系、ナミビア系、ラテンアメリカ系、ベトナム系、南アジア系)の人々の諸活動への受入れ、 ケベック州内の東方正教会女子修道院訪問、カトリックの聖人への崇敬、他のキリスト教宗派の国々(ケニア、ボリビア)の支援、ニューカマーを積極的に取り込んだボランティア活動などが看取された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの調査を通じて、調査先のインフォーマントと十分な信頼関係が築けているため、研究も順調に展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度もカナダでの調査を継続する。同じく調査対象であるエジプトとフランスは治安状況を鑑み、2017年度以降、状況が許した段階で現地調査を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた年2回の現地調査が、治安上の理由により実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の調査出張では、当初の予定よりも現地調査の日数を多く取るか、異なる調査地2つに行くかのどちらかにする予定のため、その旅費に残額をあてる。
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