2016 Fiscal Year Research-status Report
コプト・ディアスポラのネットワーク形成と異文化適応に関する比較宗教学的調査研究
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15K02053
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩崎 真紀 九州大学, 国際交流推進室, 助教 (10529845)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コプト・キリスト教 / イスラーム / 宗教共存 / ディアスポラ / 移民 / 宗教的多様性 / 宗教と暴力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題にかかわる、H28年度のおもな実績は、これまでの研究成果をまとめた学術論文(分担著:岩崎真紀「エジプトにみる聖家族逃避行伝承をめぐる宗教共存―ムスリムとコプト正教徒の関係―」勝又悦子編著『宗教と対話』教文館、2017年3月、139~161頁。)の出版とフランスパリのコプト・ディアスポラの調査を実施した点である。 調査対象であるパリ郊外の大天使ミカエル聖ジョージ教会は、パリ近郊にあるコプト正教会のなかで、もっともパリ中心部に近い場所に位置する教会である。調査期間中の日曜典礼(礼拝)には約400名の出席者があり、前回調査時の2013年と比べて、信徒数に大きな変化はなかった。他方で、2015年11月にパリ中心部のバタクラン劇場をはじめとする複数個所への襲撃事件の影響は、この教会にも色濃く現れていた。司祭の許可を受け調査をしている研究代表者は、これまで、信徒から身分証明書を求められたり、敵対心を持って何のために来ているのかと問われたことはなかった。しかし、今般の調査では、そのようなことが数回あった。質問をしてきたのは、いずれも30-40代の女性であった。また、パリのコミュニティに自分たちの活動を伝える目的を持つオープン・チャーチ(非信徒への教会開放)開催時には、来場者の荷物チェックを行ったという。他方で、真偽はともかく、信徒たちのあいだでは、欧州で起きたテロ行為の犯人が、本教会の前でずっとたたずんでいたという話題が頻繁に出ている。これら一連の事柄は、本教会をめぐるコプト・ディアスポラにとって、フランスで頻発するテロ活動が彼らの教会活動に大きく影響していることを如実に物語っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学術論文を執筆し、現地調査を行ったという点において、本年度行うべき事柄を順調に行ったと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、フランスとカナダの調査を実施し、とくにユースグループの活動についての比較検討を行いたい。
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Causes of Carryover |
平成28年末に急遽研究代表者の所属が変更することなり、平成28年度4月より筑波大学から九州大学に転出した。この急な転出・転入のため、平成28年度前半は本研究テーマを推進する十分な時間がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで年1回として計画していたフランスもしくはカナダへの出張を、年2回、両国への出張とする。
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