2016 Fiscal Year Research-status Report
16-17世紀に書写された古代イラン文献の写本研究
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15K02054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 健 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (50745362)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宗教学 / ゾロアスター教 / マニ教 / イスラーム |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、以下の3つの研究を実行した。 ①2016年3月にインド・パトナーで入手したゾロアスター教神秘主義者アーザル・カイヴァーン(1618年没)のペルシア語思想詩の解読を通して、彼の神秘主義思想の特徴を解明する作業を行った。これはゾロアスター教史の延長線上に位置付けられる思想ではなく、イスラーム神秘主義の枠内で理解されるべき内容だとの結論に達した。また、アーザル・カイヴァーン学派の別のペルシア語写本の校訂作業も並行して進めている。 ②2016年8月に再び福建省霞浦県、泉州のマニ教関連遺跡を訪問し、調査を行った。福建マニ教は、文献上は中央アジア時代の特徴をよく保存しているとされるものの、21世紀現在の宗教儀礼や彫像を見る限りでは、マニ教らしさはほとんど残っておらず、中国土着の道教思想に融解していった状況が窺えた。今後は、文献上正確に保存されているとされる教義と、道教思想に吸収されていった現実の乖離の説明が、研究の焦点になると思われる。 ③2016年8月に中央アジアのゾロアスター教遺跡、マニ教遺跡の調査として、ソグディアナ、ホラズム(以上、ウズベキスタン)、アク・ベシム、クラスナヤ・レーチカ、砕葉城(以上、キルギス)を訪れた。旧ソ連時代の報告書を頼りに回ったのだが、それぞれの遺跡をゾロアスター教遺跡、マニ教遺跡とする根拠が予想以上に薄弱で、新規研究を開始するというよりは、先行研究の不備を確認する作業に追われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アーザル・カイヴァーンのペルシア語思想詩の解読と、新発見のアーザル・カイヴァーン学派ペルシア語写本の入力作業は、順調に推移している。近年マニ教研究の焦点になりつつある中国福建省のマニ教に関する研究も、とりあえず、この科研費で対応している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と同様に、アーザル・カイヴァーン研究を進めていきたい。中国マニ教研究と中央アジアのゾロアスター教・マニ教遺跡調査も、並行して行いたい。
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Causes of Carryover |
2016年に計画されていたボーフム大学での国際アーザル・カイヴァーン研究会が中止になった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記に代わり、2017年度には、2017年12月にボーフム大学で、2018年2月にボン大学で、国際学会が計画されている。これらに連続で出席する予定である。
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