2018 Fiscal Year Research-status Report
16-17世紀に書写された古代イラン文献の写本研究
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15K02054
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
青木 健 静岡文化芸術大学, 文化・芸術研究センター, 教授 (50745362)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゾロアスター教 / インド / 中央アジア / ペルシア語文献 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、「16-17世紀に書写された古代イラン文献の写本研究」に向けて、下記の3つの課題に集中的に取り組んだ。 1.2018年6月に、ルール大学ボーフムに於いて、“Safavid and Mughal Empires in Contact: Intellectual and Religious Exchanges between Iran and India in the Early Modern Era” Workshopが開催されたので、これに参加し、"Azar Kayvan School in Historical Context―Zoroastrianism, Sufism and Mughal India―"と題して発表した。16-17世紀のイランとインドで活躍したゾロアスター教神秘主義者アーザル・カイヴァーンに関するワークショップで、この科研テーマに最適の発表の場だった。科研費の一部は、この際の旅費に充てられた。 2.上記のルール大学ボーフムでのワークショップの成果は、ルール大学ボーフム出版の論文集に纏められた。科研費の一部は、この英語論文を寄稿する際の、英文校正の費用に充てられた。 3.2019年3月に、タジキスタン共和国に於いて、タジキスタン国立大学図書館、タジキスタン歴史アカデミー図書館など、合計5箇所の写本図書館で、中世・近世ペルシア語写本の調査を行った。その結果、1点だけであるが、上記のアーザル・カイヴァーン学派に属すると見られる近世ペルシア語写本を発見することが出来た。科研費の一部は、この際の旅費に充てられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度に於いては、ドイツに於ける学会発表と、それを受けての英語論文発表は、想定内の進捗状況である。 また、当初は、タジキスタンに於ける写本図書館調査は予定していなかったが、タジキスタンに於けるゾロアスター教拝火神殿の遺跡調査を兼ねることで、予想外の写本に巡り合うことが出来た。これは、予期せざる成功であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、以下の3つの方向で研究を推進したい。 1.2018年度にタジキスタンで発見した写本は、おそらく、パリ国立図書館に所蔵されている写本と密接な関連を有する。この点を確認する為には、パリに赴き、実際に写本を照合する必要がある。 2.タジキスタンには、意外と未研究の写本が存在することが、今回の調査から確認された。この為、タジキスタンを再訪して、2018年度に調査し切れなかった写本図書館を訪問したい。 3.研究代表者は、10年近く、イランの写本図書館を訪問していない。最終年度には、ペルシア語写本の本場であるイランを訪問して、最新の写本状況を把握したい。
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Causes of Carryover |
2017年度に所属機関を変更し、新しい研究環境に移った為、この年度に科研費を使用した研究を推進することが出来ませんでした。このため、繰越金が生じています。
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