2020 Fiscal Year Research-status Report
16-17世紀に書写された古代イラン文献の写本研究
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15K02054
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
青木 健 静岡文化芸術大学, 文化・芸術研究センター, 教授 (50745362)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゾロアスター教 / ペルシア語 / イラン / タジキスタン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、イラン及びタジキスタンにおける写本図書館でのペルシア語写本調査を計画していました。イランのみならずタジキスタンを調査対象に加えたのは、トランプ政権以降にアメリカ・イラン関係が悪化し、イランでの調査が難しくなると考えられたからです。イラン同様にペルシア語を国語とするタジキスタンを、イランに次ぐ二次的な選択肢として加えたのは、その時点では合理的な判断でした。 しかし、2020年3月以降にCovid-19が世界中で急拡大し、問題は国際関係ではなく世界規模での疫病となりました。否応無しに、イランのみならずタジキスタンでの写本調査も不可能になりました。このため、予算の過半を占める海外出張旅費の執行は全面的に停止せざるを得ず、日本国内で、既に手許に確保しているペルシア語写本に依拠した研究体制に移行せざるを得ませんでした。しかし、当然ですが、この研究手法では限られた研究成果しか得られていません。 以上のように、可能な範囲内での研究は実行しましたが、当初の研究計画に比べると、相当の遅延が生じています。やはり、イラン・タジキスタンを直接訪問して、ペルシア語写本を調査しないと、研究が先に進みませんので、今後は、ワクチン接種によって世界が平常化し、一刻も早くイラン及びタジキスタンへの渡航が可能になることを願います。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
この研究は、イランとタジキスタンでのペルシア語写本の蒐集が、全ての立脚点でした。本研究は、①写本閲覧許可の取得、②写本の質の選別、③現地での写本コピーの取得交渉などの点で、研究者が実際に現地の写本図書館を広く渉猟しない限り、前に進めるのが不可能な研究でした。 しかし、2020年初頭にはアメリカとイランの国際関係が極度に悪化し、2020年3月以降はCovid-19が世界的に流行し、イランやタジキスタンへ調査に赴く前提条件が覆りました。Covid-19の終息を満を持して待つ状態が1年以上継続したのですが、2021年4月段階では海外渡航は現実的なものとなっておらず、写本図書館調査は実現できていません。 以上のような理由によって、本研究は、既に確保済みのペルシア語写本を用いて、既存の研究を深化する方向に舵を切らざるを得ず、当初の研究目的とは違った形で進んでいます。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究推進に当たっての最大の障害は、Covid-19流行によって海外調査が不可能になった点にあります。2021年度は、世界各国でワクチン接種が進んでいると聞くので、海外調査を再開できると信じています。かなりのハードスケジュールになるとは思いますが、年に数回以上のイランとタジキスタンへの訪問計画を立て、機会を待っている状態です。
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Causes of Carryover |
2020年度は、イラン及びタジキスタン調査のための海外旅費が、支出見込みの過半を占めていました。しかし、Covid-19の国際的な流行により、海外調査は完全に不可能になりました。この為に、予算を繰り越さざるを得ず、次年度使用額が生じました。 2021年4月現在、ワクチン接種が急速に進み、世界の平常化も近いとされています。少なくともこの状況が続く限り、2021年度中の海外調査を視野に入れても差し支えないと思います。
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