2022 Fiscal Year Annual Research Report
Manuscript Study of Ancient Iranian Documents Written in the 16th and 17th Centuries
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15K02054
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
青木 健 静岡文化芸術大学, 文化・芸術研究センター, 教授 (50745362)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゾロアスター教 / イスラーム神秘主義 / ムガル帝国 |
Outline of Annual Research Achievements |
16世紀後半のイラン及び17世紀前半のインドで活躍したアーザル・カイヴァーン学派の思想を解明することで、中世イラン・インド思想史の把握に寄与した。具体的な成果は以下の3つである。 ①アーザル・カイヴァーンの弟子であるアーザル・パジューフによる近世ペルシア語文献『ズーレ・イェ・バースターニー』の日本語訳の連載。 ②アーザル・カイヴァーン学派のものと推定される近世ペルシア語文献『ダースターネ・モーベダーン・モーベド』の写本蒐集と校訂、日本語訳の連載。 ③アーザル・カイヴァーン学派が使用した人造古代イラン語(アースマーニー語)の起源を求めてのインド・ペルシア語辞書の調査。 以上の成果によって、アーザル・カイヴァーン学派以前とアーザル・カイヴァーン学派以後に関する思想史的資料は格段に豊富になった。「以前」に関しては、この学派の人造古代イラン語のルーツは、サイイド朝時代のインドにまで遡ることが確認された。今後の研究によっては、これ以前のイランやインドに遡る可能性がある。「以後」に関しては、この学派は教祖アーザル・カイヴァーン没後に思想的に分裂し、哲学的な要素を重視する思想家と神話的な物語を重視する思想家に分裂していったと推定される。彼らの思想的影響力の下限がどこまであるかは不明だが、現段階での推測としては、インド・ビハール州で活躍したジャウンプール学派や近現代インドで活動した神智学協会などにも影響したのではないかと思われる。
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