2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨澤 かな 東京大学, 附属図書館, 特任准教授 (80503862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊山 亜希 近畿大学, 国際学部, 講師 (40511671)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宗教概念 / 近代インド / スピリチュアリティ / ネオ・ヴェーダーンタ / 近代墓地 / インド近代美術 / M. K. ガーンディー / ヨーガ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度12月に開催された国際ベンガル学会の成果を基盤に、本研究計画の代表者・分担者・協力者である冨澤かな・豊山亜希・間永次郎・平野久仁子の間で、それぞれの専門性に応じた研究を展開、共有してきた。冨澤は国際ベンガル学会で報告した、近代インドの宗教概念の展開を "spirituality" の語彙の用例から検討する作業を継続しつつ、新たに近代インドにおける "secularism" という語彙の用例へと調査研究を広げている。また、インドの英人墓地の墓石意匠の調査も継続的に展開している。豊山はカルカッタの邸宅建築における表象の変遷の検討を進めるとともに、新たにインドの近代画の潮流を藩王国の近代美術コレクションから見直し、従来一般的であった、ラヴィ・ヴァルマーらの油彩の系譜とベンガル派との対立図式自体を再考しようとしている。間はガーンディーの思想の展開を細かく検証する博士論文を完成し、そこから、ガーンディーにおける人間の二面性の認識やこれに対する議論の重要性と根本的な一元論の方向性とがどのように成立・共存したのかを、ヴィヴェーカーナンダ的なネオ・ヴェーダーンタとの関わりとともに検討している。平野は日本人仏教僧とヴィヴェーカーナンダの関係等の研究を継続するとともに、ヴィヴェーカーナンダの、特にカルマ・ヨーガ論を核とするヨーガ論と、これとは系譜を異にするハタ・ヨーガの理論の検討に着手している。これらはすべて、近代インドの宗教表象の多様性を新たな視点で見直すことを目指す試みであり、最終年度である2019年度に国際学会でパネル発表をすることを具体的目標に設定して研究を進展させている。8月1日と3月20日に研究報告会を開き、研究状況を共有し討議をするとともに、国際学会へのアプライについて方針を討議、決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は当初計画どおり、前年の国際ベンガル学会の成果を基盤に、本研究活動のコアメンバーである冨澤・豊山・間・平野それぞれの研究に新たな視点を取り入れ、29年度の国際学会アプライに向け、その成果を共有・展開することができた。本科研メンバー外でも、例えば福内千絵氏がインド近代美術の神表象の見直しをめぐる成果を継続的に発表するなど、本研究計画の助成により構成したパネルのメンバーがその成果を進展させている例が見られ、また、冨澤がこの学会のプロシーディング編集に協力するなど、継続性のある活動を展開することができた。28年度は27年度の成果を受けてそれぞれの研究調査を進め、共有することができたが、国際ベンガル学会を核に多くのアウトプットを行った前年度に比べると発表件数がやや下がったため、29年度は成果の公開により注力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる29年度は、本研究活動の大きな節目として、国際学会参加を予定している。当初は7月にチェンマイで開催されるICAS10(The 10th International Convention of Asian Scholars)への参加を最有力と考えていたが、コアメンバー間の討議の末、ICASより選抜が厳しく、その分国際的評価も高いと思われることから、2020年3月22-25日にワシントンで開催されるAAS(Association for Asian Studies)年次大会にアプライすることとした。AASは選抜が厳しいため、パネル内容を練るとともに、本研究費を有効に活用し、国外からもよいスピーカーを招き、アプライをする予定である。その上で残念ながらアプライが通らない場合には、日本にゲストを招へいしてシンポジウムを開催することを検討する。 国際学会での発表を核に活動しつつ、その成果を文字情報、あるいはデータベース等の形で公開する方法についてもコアメンバー間で討議を続け、実現につなげる。特に冨澤によるインドのイギリス人墓地研究の画像・データの公開の実現に向けて、できるだけ年度内に関係者間の合意を形成したいと考えている。
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Causes of Carryover |
最終年度の国際学会パネル発表計画を検討する中で、本研究計画のコアメンバーの他、海外からも優秀な研究者を招へいして有意義なパネル編成を行うことが重視され、そのための旅費の確保が必要となったため、本年度の支出額を予定よりやや減らすこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、国際学会へのパネル参加者の旅費として利用する予定である。
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Research Products
(9 results)