2016 Fiscal Year Research-status Report
明治前期の宗教をめぐる言説空間の再検討――宗教メディアの横断的考察
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15K02059
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
星野 靖二 國學院大學, 研究開発推進機構, 准教授 (50453551)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 宗教メディア / 『明教新誌』 / 『六合雑誌』 / 近代日本宗教史 / 近代と宗教 / 仏教 / キリスト教 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は宗教メディアに着目して近代日本宗教史を再検討するものであり、またそれを近代と宗教というより大きな問題につなげて考察していこうとするものである。今年度の具体的な成果として、研究実施計画に(1)として挙げた『明教新誌』の目次データ整備を引き続き行った。2015年度に明治12年と13年の一部、また明治15年と16年の一部について、目次の原データ作成を行っていたが、2016年度は明治13年と16年の残り、また明治14年と17年の作業を終え、明治12年から17年までの原データを得た。公開を念頭において内容確認の作業を進めている。次に(2)の『六合雑誌』の宗教論のリスト化と(3)の論説の内容の検討を合わせて進め、宗教学会と日本思想史学会において成果を発表した。 研究成果としては、論文集に論文を2本発表し、また口頭発表を3回行った。口頭発表について、「『経世博議』と中西牛郎」では『経世博議』という雑誌の性格について考察を加えた。「明治前期宗教メディアの再検討-翻訳論説を焦点として」では、『六合雑誌』上の翻訳論説をリスト化し、判明した限りで英文の典拠を同定した。また更にそのうちの幾つかについては、訳文と英文を対照し、その相違を示して検討を加えた。「明治前期「宗教」論の再検討-宗教メディアという場に即して」では、主に明治15年頃の『明教新誌』上の仏教に関する論説を取り上げた。先行研究では、例えば井上円了や中西牛郎らのように明治20年代に入る頃の仏教改良論が取り上げられてきているが、本発表ではそれに先行して仏教を弁証する必要性、教団改革、僧侶教育などといった「論点」が既に提出されていたことを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
引き続き『明教新誌』の目次データ作成を行っている。研究成果の公開については、主に学会での口頭発表において行った。
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Strategy for Future Research Activity |
『明教新誌』の目次データ作成について、これまでの実施状況から今後の進捗の見込みを修正することになる。しかしながら、目次データ作成予算については、最優先で確保することとする。
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Causes of Carryover |
当該年度の『明教新誌』目次データ作成にかかる委託費について増額を検討したが、残額と作業期間・確保人数を照らし合わせて調整してみたところ、効率が良くないことが判明した。これを受けて、残額を次年度に回し、次年度の委託費を増額することを計画している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
懸案である『明教新誌』目次データ作成にかかる委託費について、次年度使用額を全額委託費にまわし、更に次年度予算の中からも重点的に配分することを計画している。
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Research Products
(5 results)